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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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相続登記はしなければいけないのか 

【相続登記はしなければいけないのか】
by 加藤雄一

 私は、丸の内アドバイザーズグループの登記関係を担当しております四谷司法事務所の司法書士加藤雄一と申します。

 今回は、相続登記をテーマにします。なるべく平易な文章を心がけておりますので、一部気になる表現もあるかもしれませんが、最後までお読みいただければ幸いです。

 司法書士の業界でも、今後、この方面の案件が増えることが予想され、力を入れている事務所も数多くあるようです。もちろん、私の事務所でも相続の手続きは得意としている分野でもあります。

 相続登記自体は、法的にいつ迄に行わないといけないとか、いつ迄に行わないと罰則があるという事はありません。そのため、「やらなきゃいけないよなぁ」と思いながら結構多くの方が、放置してしまっている状態かと思われます。

 そこで、今回は相続登記を放置した場合のデメリットを考えてみたいと思います。

 まず、相続開始直後に表立った不利益は特にありません。例えば相続税がかかってしまう様な案件でも、相続税の申告期限までに登記手続迄も終わらせておく必要はありません。

 しかし、後々に相続登記をしなければならなくなったとき(対象不動産を売却する場合など)にデメリットが明らかになると言えます。
今回は主に
1 書類を集めるのが面倒
2 相続人の協力が必要

の2点から、ご説明いたします。

 まずは、1、書類を集めるのが面倒という事です。

 相続登記を申請する際には、申請書を書いて法務局に提出するだけでは登記できません。
具体的には、亡くなった人(被相続人)の出生から亡くなる迄の戸籍、改正原戸籍、除籍謄本などの資料の提出も必要です。
 これらの戸籍関係の書類は亡くなった人が生まれてから亡くなる迄の期間を証明する様に取得する必要があります。
 現在の戸籍だけでは、現在のことを証明しているだけで、実は再婚で前の結婚の際に子供がいたとかいう事があると、現在の戸籍からだけでは、その事実はわからないこともあるからです。

 戸籍関係の原本を相続税の申告などで税務署に提出してしまい、相続人の方達にはコピーしか手元に無いということがよくあります。
 相続登記の際には、戸籍関係の資料はコピー提出では対応していただけなくて、原本の提出が必要になります。せっかく手間をかけて取得した戸籍関係の書類を再度取得しないといけないのです。

 戸籍関係の書類を全部同じ役所で取得できればそれ程手間では無いかもしれませんが、本籍を住所と共に移しているタイプの方の場合は、本籍が遠方だったりで、かなり面倒な場合もあります。

 また、遺産分割協議をしている場合も、その原本を一旦提出する必要があります。この遺産分割協議書には実印を押印して印鑑証明書も必要になります。もちろん原本です。

 よくあるのが遺産分割協議をしていて遺産分割協議書の原本はあるのですが、印鑑証明書の原本が無い!という事です。

 遺産分割協議をするのに相続人間で揉めていた場合などは再度「印鑑証明書を出してくれ」と言っても聞き入れてくれないということもあります。

 また、結婚して名前が変わってしまったとか、引っ越して住所が変わったとか、実印を変えたとかで、遺産分割協議当時と同じ印鑑証明書を出せない場合もあります。
この場合はどの様に対応するのか、毎回悩ましい思いをします。

 この様に、時間が経つと書類を集めるのが困難になってしまう事がデメリットの一つです。

 次に、2の「他の相続人の協力が必要」に関してです。
 前述したように書類を集めるにしても他の相続人の協力が必要となります。
 そのような手間もありますが、私が経験した中で「他の相続人の協力」という点で一番困るのは、ある不動産を共有で相続した場合です。

 相続登記の際に、ある不動産を2名以上の共有とする形で相続した場合、自分の持分だけの相続登記はできません。自分の持分だけの登記ができてしまう事になると、残りの持分はどうなったの?という事になってしまいます。相続によって生じた結果が全て正しく反映されていないのです。

 相続によって2名以上共有となる場合は、そのうちの1人が保存行為として登記の申請をする事ができるのですが、他の相続人の持分の登記も一緒に申請しないといけないのです。

 では、相続によって共有となった場合にそのうちの1人から相続登記の申請をして何が問題であるのでしょうか?

それは、登記識別情報通知の制度に由来するものがあります。

 登記識別情報通知については、制度開始から数年経っていますので、そろそろ馴染んできたのではないかと思いますが、登記識別情報については、権利を取得する者が識別情報を発行するか発行しないか(情報を通知してもらうか、通知してもらわないか)を選ぶことになります。
 我々司法書士が登記を申請する際には通常、申請書に「登記識別情報を発行してください」という表示をしますが、その表示をするためには、依頼者から「登記識別情報通知を受領する権限」を得なければならないのです。
 司法書士は依頼者の代理人となって登記を申請するのですから、登記識別情報の通知を受けることについても、委任(依頼)を受けていなければそのことについて代理できないのです。

 ということは、共有となる相続登記の依頼の場合に、登記手続きが可能だからといってそのうちの1名からだけ依頼を受け、登記申請してしまうと、その1名分しか登記識別情報は発行されません。他の方からは何らの委任も受けていないからです。

 結果、他の方たちは、登記識別情報通知がされないため、昔で言うところの権利証が無い状態と同じになります。
 昔は、相続人の1名から申請するとその物件を共有することとなった全員が記載された権利証が出来上がりましたが、現在では事実上、そういう手続が採り辛くなってしまったのです。

 そうなりますと、一方の相続人には権利証に代わる書面があるのに、もう一方の相続人にはその書面が無いということになり、これが、将来のトラブルの原因になるかもしれません。

 というわけで、相続登記を放置しておくと、再度他の相続人の協力が必要となってくる場面もあるのです。
他にも複数不動産がある場合に不動産の記載に一部漏れがあるので、追加で遺産分割協議書を作成しなければならなくなったとか、他の相続人に協力してもらわなければならないということは結構あります。

 遺産分割協議が終わって早めに手続きを行えば、そういった二度手間、三度手間が省けると思います。

お盆の時期に皆様家族・親族が顔を会わせる際に、ふと、相続登記のことを話題にしてみてはいかがでしょうか。
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