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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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会社は誰のものか(会社の意思決定) その2 

【会社は誰のものか(会社の意思決定) その2】
by 加藤雄一

 丸の内アドバイザーズグループの登記関係を担当しております、四谷司法事務所の司法書士加藤雄一と申します。前回からの続きです。

<株主総会の決議の瑕疵に対する扱い>

 株主総会の決議の瑕疵という難しい書き方をしましたが、つまりは、株主総会自体や総会を開くまでの道筋やその他で、ルール違反があった場合に、そもそも、この株主総会で決まったことはどうなってしまうのかということを、その瑕疵の内容によって区別することになります。

 具体的には下記の方法があります。
決議取消しの訴え(会社法831条)
不存在確認の訴え(会社法830条1項)
無効確認の訴え(会社法830条2項)

 全ての方法に訴えとありますが、まず、決議取消しの訴えは、訴えをおこして(裁判をして)裁判所に決議を取り消してもらうことになります。

決議取消しの訴えの要件としては
・招集手続、決議方法の法令定款違反・著しい不公正
・決議内容の定款違反
・特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議

が必要になります。そして、株主総会決議の日から3カ月以内に提訴しなければなりません。(会社法831条1項)

 その他のものは、無効確認の訴えは、もともと無効なわけなので訴えが無くても無効であり、不存在確認の訴えももともと決議が存在していたとは評価できない訳なので、訴えが無くても不存在といえますが、会社の側と評価が分かれる場合(会社は有効だと思っている。こちらは無効や不存在だと思っている)には訴えを提起すべきことになります。

 無効確認の訴えでは決議内容の法令違反、不存在確認の訴えでは「決議が存在したと法的に評価できない場合」であることが要件となりますが、訴えを起こさなければいけない期間や原告となる人について制限はありません。

 ここで、Bとしては、Aが株主総会を開催した場合でも、法定の手続きを経て開催している場合は、株主総会で議決権を行使したり、総会で意見を述べるぐらいしか対応はできませんが、たとえばBに対して招集通知を発送していないとか、その招集に問題があったりする場合は決議の取り消しを訴えることになります。
 また、そもそも総会自体が開催されていないとか、開催されていたとしてもとても総会の体をなしていないような場合には無効や不存在を訴えていくことになります。

 これに対して、Aが適法に株主総会を開催して、新しくほかの役員を選任したとすると、Bとしては、なすすべがなくなってしまうことになります。

 一方、結果としてBが勝つ可能性は低いですが、Bが少数株主として株主総会を開催することも可能です。(Bは取締役ですので、もともと株主総会を開催することができますので、ここでは取締役でない場合の少数株主の立場で考えます)

 Bが株主総会を開催したとしても、結局大株主であるAが出席し、議決権を行使すればBの意見や提案は否決されてしまうので、全く意味がないように思えます。

 しかし、総会を開催してその場で話し合いや検討の機会ができれば、少数株主であるBの意思表明ができることになりますし、今後の会社運営の中で、Bの意見を反映させるように変わってくるかもしれません。
株主としての考えを表明する場を提供してもらうということが大事なことであり、全く無意味な行為とまでは言えません。

<少数株主からの株主総会の開催要求および開催>

 では、具体的にはどのような手続きになるのでしょうか。
少数株主から株主総会の招集を請求できる場合は、以下のように定まっています。(会社法297条)
・原則として議決権の3パーセント以上の株式を有していること
・株主総会の目的となる事項と招集の理由を表示すること
・取締役に対して株主総会の招集を請求すること


 これは、株主総会を開催することではなく、株主総会開催の招集をかけるよう請求するものであり、会社に対して株主総会の開催を要求するという意味合いになります。

 そのため、自動的に株主総会が開催されるわけではなく、取締役の判断で招集をしないで、そのまま請求を無視することもできてしまいます。
(今後のこともあるので、簡単に無視してしまうことはお勧めできませんが・・・)

 もしも無視されるような場合でも、裁判所の許可を得て、少数株主が株主総会を招集することもできます。

 そうすると、Bが総会を招集したとすると、Bが主導で総会が開催されるため、議事進行に影響が出る場合も考えられます。そこまで考えると、Aとしては、開催を請求された場合には受けて立つというか、しっかり対応しておいた方が良いと言えます。

<役員変更の登記からの面>

 それでは、今回は役員を追加することで考えてきましたが、これを登記手続の面から考えてみます。
役員を追加する場合は役員変更登記を行うことになります。この場合、法務局には株主総会議事録を提出することになります。

「このように決議したので、役員が追加になりました」ということを証明するためです。法務局においては、その議事録の記載を確認することになり、実際に総会が開催されていたのかなどを確認することはいたしません。(形式的審査権)

 そのため、登記手続きさえできてしまえば良いと考えて、議事録だけ作成して、総会を開催していないことも実際ありうることかと思います。
そうしてなされた登記は、どのようになるのでしょうか?

 特に誰も無効を訴えなければそのままわからずじまいということになりますが、会社のお家騒動的な場面では、「勝手に役員が追加されている!」とかすぐにわかってしまいます。

 そうすると、総会自体が開催されていないのであれば不存在ですから、その役員選任の登記も無効ということになります。

 登記簿は、公正証書でもあるので、公正証書原本不実記載罪(刑法157条)に当たる可能性もあります。会社の登記簿謄本の記載だけで、そのような罪になってしまうこともあり得ますので、注意が必要です。

 罪とならないとしても、一旦登記したものが錯誤で抹消されるとか、更正登記がされるということもあるので、対外的にも見た目が悪くなります。会社の信用力が低下するとも言えると思います。

 ということで、今まで見てきたとおり、会社は、主に株主総会での決定が大きなウエートを占めているものであり、株主総会は株主が主役ですから、取締役は株主からの負託を受けている立場と言えます。

 以上のように、株式会社においては、最終的には株式の所有割合で、ほとんどの物事が決まることになります。しかし、法的に定められた手続を経ないと、思わず足元をすくわれてしまうということもありますので、重要な意思決定においては、法律に定められた手続きをよく理解して進める必要があります。
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