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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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債務整理の事例 その1 

【債務整理の事例 その1】
by 加藤雄一

 皆様、こんにちは。私は、丸の内アドバイザーズグループの登記関係を担当しております。四谷司法事務所の司法書士加藤雄一と申します。

 司法書士と言えば「登記」が代表的な業務になりますが、2003年4月1日施行の改正司法書士法により、所定の研修(特別研修)を修了した司法書士のうち、簡裁訴訟代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した者は、簡易裁判所において一定の訴訟代理行為等を行うことができることとされました。この改正の頃から、司法書士における債務整理、過払い案件というものが表立って登場してきました。

 みなさん、電車の車内吊りや、車内広告で「債務整理」「借金問題」「過払い請求」などの文言を目にすることがあると思います。最近では芸能人をキャラクターに利用した広告もあるようです。
私の事務所では広告等はしていませんが、債務整理等の案件については、ご紹介をいただいたり、HPを見たという方からご連絡をいただいたりして、今までに少なくはない案件数を取り扱いました。

 受託した案件では、お客様に満足いただける結果を出しているものと自負しています。
というのも、お客様からお友達をご紹介いただいたり、ご家族の方をご紹介していただいたりすることが多いのです。過払い請求となる案件では、お客様が予想もしていないような金額が戻ってきたりすることもあります。

 一方、残念ながら、過払いの状態となっているものの、貸金業者自体がお金がなくて、潰れてしまっているということも多くあります。計算上数百万円近く過払い状態だったけれども専門家に相談にするのが遅く、既に先方(貸金業者)が法的整理(民事再生など)となってしまっていて、実際の返金は数パーセントしかなかったということもあります。

 この後は、私の事務所であった案件を、お客様が特定できないようにご紹介していきます。ブログをご覧の皆様のきっかけになり、専門家に相談する一歩となれば幸いです。
(個人が特定できないように内容は多少省略していますことをご了承ください)

(事例1) Aさんの場合(過払い請求と債務整理)

 Aさんはもともと、カードでショッピングをしていたのですが、ある時ふとしたことからカードでキャッシングができることを知り、数回利用しているうちに、金額が膨れ上がり、気づいたら相当な額になっていて、自身の収入の状況を考えるとこのまま返済し続けられるのか心配になり、人づてで私の事務所にお問い合わせを頂きました。

 お会いしてヒアリングをしていると、意外なことがわかってきました。
というのも、確かに自分でキャッシングしていたことはあるのですが、友人からお願いされて、友人の代わりにサラ金のカードを作り、50万円もの借入を行っていたのです。
 友人は最初の数回はAさんに返済をしていたものの、それも数回で支払わなくなってしまいました。そして、その友人は引越しをしてしまったらしく、Aさんがその友人に連絡をしても、もう電話がつながらなくなってしまったのです。
結果、残ってしまったのは、50万円近くのAさん名義の借金ということになったのです。

 その他、キャッシングやショッピングの残債務などで、総額で250万円近く、合計8社ほどあることがわかりました。
現在では、総量規制もあることから、個人でここまで借りることはほぼできませんが、当時はバンバン貸し付けていたという事情もあったようです。

 Aさんに、「友人に請求をして取り返すということもできなくはないのですが、どうしますか?」と聞いたところ、借入したのは自分だし、実際その友人がお金を返してくれるとは思えないので、とりあえず、自分の借金を何とかしたいとのことでした。
 Aさんからは、現時点でわかる債権者の名前とおおよその借入金額を教えてもらいます。また、過去にキャッシングをしたことのある業者の名前を思い出してもらいました。

 そうすると、過去に取引をしたことがあるものの今は返済も終わっていて使用していない業者が3社ほどありました。
ここからは、私の事務所での業務になりますが、早速、各金融業者さんに連絡をして、「受任通知」というものを送ります。
「受任通知」とは、
“このAさんの件は私が代理人になったので、今後の連絡は私宛にください”
“返済はストップするので引き落としなどは止めてください”
“今までの取引内容を確認して、再計算するので、資料をこちらに送ってください”
という内容を相手(債権者)に通知するものです。

 当時(7~8年前)は、まだ債務整理や過払い請求が今ほど盛んではない時代で、こちらから受任通知を送っても、今までの取引内容の明細(取引履歴と言います)が出てくるのに数カ月もかかっていました。

 そして、この取引履歴をもとに私の事務所で、「利息制限法に基づいたひき直し計算」を行います。(この計算について書き出してしまうと、このブログ数回分になってしまいますので、ここでは省略します)

 そうすると、以下のようになりました。
・残債務がある 3社 
・返済中だが過払い状態 5社
・過去に取引があった業者(もちろん過払い状態) 3社

 つまり、最初に話を聞いていた8社のうち5社が過払いという状態です。
過払い状態とは、利息制限法に基づいて再計算をした結果、支払う必要もなかったのに支払い過ぎていた状態→「過払い」という状態のことです。この場合、払い過ぎている訳ですから、その相手に「払い過ぎたものを返せ」と請求することが出来るのです。これを「過払い請求」と言います。
過払い状態が8社あるわけですから、Aさんはそこからお金を返してもらって、そのお金で、債務が残っている先を返済すれば良いことになります。

 しかし、問題が2点ありました。1つは、例の友人のための借入です。
これは、直近での借入だったため、ほとんど元金が残っていて、40数万円を返済しないといけない状態です。
もう1つはショッピングの支払い債務と、過払いで戻ってくる額とを相殺すると、少ししか戻ってこない先があったことです。
結局、130万ぐらいの残債務と、80万ぐらいの過払いとなりました。

 直近のサラ金の名義貸しのようなものが無ければ、実質借金がチャラになっていたはずです。これが悔やまれるところですが、まぁ、もともと250万円の債務が、実質50万円に圧縮できたので(当方の報酬等があるので実際はもう少し負担はありますが)良い結果だと思います。

 Aさんに報告し、残り50万円分を今後どのように返済するか、Aさんとの面談をしました。
すると、Aさんから驚きの報告がありました。

「じつは、離婚することになって、今後はしばらく収入がありません」

 もともとAさんは専業主婦で、家計のやり繰りの中から返済をなんとかしていたそうですが、離婚してしまっては、働かない限り返済原資がありません。親からの援助も期待できないようです。
一旦、持ち帰って事務所で検討することになりました。

 全体の借金からすれば、だいぶん減ったことにはなりますが、今後分割して返済をしていくにも当面生活費の支払で精一杯で、たとえ数千円としても返済の余力は無いと思われます。

結果、今回採用したのは、過払いで戻ってくる80万円を利用する方法です。

 残債務は130万円ありますので、これを過払いで戻ってくる80万円で一括で返済してしまっては、50万円の返済のための資金が無くなってしまいます。
戻ってくる80万円も内訳としては、すぐにでも戻ってくる20万円と、じっくり裁判をして戻ってきそうな60万円という内容なので、そのうちのすぐ戻ってくる20万円を利用することにしました。

 残債務のある各債権者に連絡をして、長期分割弁済を依頼するのです。債権者によっては条件まちまちなので、受けてくれるところと、強硬なところがありますが、当時は長期分割弁済を了承していただけるところが多かったです。
そのため、各社ひと月の支払額を数千円にとどめることにして、毎月の支払総額を15,000円程度にしてもらうことを目標としました。返済期間は約5年です。
そうすれば、20万円あれば1年ちょっとは、時間が稼げます。

また、じっくり戻ってくる60万円が実際に戻ってきたら3年は時間が稼げることになります。その間に、Aさんには仕事を始めてもらい、払える範囲内で、毎月2万円を目標に、支払い計画をたてる方法です。

 このAさんの返済金と、過払いで戻ってきたお金は、当事務所で管理します。状況を確認しながらAさんの代わりに債権者への支払いをしていくのです。

 再度Aさんに説明し、この方式を理解してもらい、実行に移しました。
債権者からは若干の抵抗がありましたが、状況を説明し、協力していただけました。(最近では強硬な債権者が増え、長期分割弁済が難しいかもしれませんが、話し合いによっては、一つの有効な手段だと考えています)

 それから数年経ちましたが、Aさんから、途中当方への入金が滞って事務所内のプール金が残り数百円になってしまったり、Aさんが東日本大震災に被災され、しばらく連絡がとれなくなったり、大変な状況が続きました。

 しかし、先日ようやく、各債権者への支払が終了しました。現在は私の報酬部分を分割で支払っていただいている状態です。これももう少しで終了予定です。無事終了が見えてくると感慨深いものがあります。
片手では数えきれない年数の出来事をまとめているので、かなり省略はしていますが、ご紹介させていただきました。

(次回に続きます)
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