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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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中小企業は持ちこたえられるか? 

【中小企業は持ちこたえられるか?】
by 弁護士 幸村俊哉

 弁護士の幸村俊哉です。
 先日、過去1年間の案件を思い出していましたら、やはり東日本大震災の影響が大きかったことに改めて気付かされました。震災の影響で、日本全体で消費控え現象が起きて、その結果、何とかこれまで売上げて資金繰りをつないでいたが、持ちこたえられない会社も出てきました。また、東日本大震災後の急激な円高も日本の中小企業に大きな影響を与え、財務的に持ちこたえられない会社が出てきました。今回はこの辺りの対応策のメニューのことを書こうと思います。

【金融円滑化法】
 資金繰りの厳しい会社がまず行うのが、銀行等への返済猶予や取引先への支払の猶予です。銀行等への返済猶予は、いわゆる金融円滑化法(「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」)のおかげで以前よりもグッと認められやすくなっていたようです。
ただし、この法律は2013年3月末が、延長の本当の期限らしいので、この法律に期待している中小企業は以下の対応策を視野に入れておく必要があるでしょう。

【金融ADR】
 通貨オプションとか、通貨スワップなどの為替デリバティブを行っていた会社については、想定を超える円高の進行で、営業自体は順調でも、財務的に多額の損失を被った会社も多数発生しました。私のところにも実際に何件も相談がありました。
為替デリバティブを行っていた会社は金融ADRという、裁判所での裁判ではなく、裁判外で一種の調停を行ってもらい、解約損失等を一定額金融機関に負担してもらうことで解決する例も見られるようです。しかし、この金融ADRにたどり着く前に破綻したというような残念な例もありますので、早く弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

【再生支援協議会】
 よりシビアな資金繰り状況の会社さんの場合には、各都道府県ごとに設置されている中小企業再生支援協議会に相談・支援の申し出をするケースが多いようです。
なお、残念ながらというか良かったというか、不思議なことに最初から私が再生支援協議会への相談・支援の申し出を依頼されたという案件はありませんでした。上記の返済猶予や再生支援協議会への相談などはまだまだ弁護士が依頼されていないのかもしれません。
 私のところには、再生支援協議会へ相談・支援の申し出をしたが、支援協議会のスキームでは対応が難しいとか、いったん支援協議会のスキームが成立したが、その後、やはり実現できなかったというようなケースがほとんどです。このような場合には弁護士が前面に出てより抜本的な対応を行うよう努力します。ただし、後記の民事再生や破産へ移行するケースも多いでしょう。

【民事再生】
 再生支援協議会のスキームは、多くがリスケ(債務の支払いのリスケジュール)ですので、それだけでは再生の手段としては不十分な場合があります。また、基本的に金融債務だけが対象ですので、取引債務まで対象としなければ資金繰りが回らないということもあります。
 そのような場合には民事再生などの裁判所の監督の下で民事再生の手続きを利用することがあります。裁判所の監督の下の手続きとしては会社更生という制度もありますが、手続き的に重厚で中小企業の場合はほとんどが民事再生です。

【自力再建型民事再生】
 私がよく行っているのが、スポンサーを入れない自力再生型の民事再生です。現在ある事業を改善し、金融機関に入れている担保の評価額を10年程度で分割弁済し、残りの金融債務や一般取引債務を、担保について分割弁済した余力でこれまた10年程度の分割弁済をするやり方です。現在の経営陣には引退していただき、事業承継を兼ねて子供さんに社長になっていただくようなケースも多いです。一旦破綻した企業ですからハードルは高いですが、私の場合にはこれで再生させているケースが多いです。

【スポンサー型民事再生】
 これに対して、スポンサーに事業譲渡を行い、その事業譲渡代金によって債務の一括弁済を行い、事業自体は再生させるというような方法をするのがスポンサー型民事再生です。信用力や資金力のある新たなスポンサーが経営を行うこと、経営責任を負っていた経営者一族が引き続き会社に残って経営するわけではないので、金融機関等の理解を得られやすいケースが多いです。ただ、元の経営者一族にはほとんど何も残らないということも多いので、経営者としては勇気のいることだと思います。

【今後の対策】
 以上色々メニューを記載しましたが、日ごろから資金繰りを目に見える形で作成しておくことが非常に重要です。冒頭に記載した金融円滑化法の期限も意識して、突然、資金ショートすることがないように専門家によく相談しておくことが最大の対策でしょう。
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