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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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企業型確定拠出年金制度(401K)がHOTです! 

【企業型確定拠出年金制度(401K)がHOTです!】
by 伊月貴博

 フィナンシャルリンクサービスの伊月です。

 先月1月23日(木)の日本経済新聞1面に、「確定拠出年金 普及期に 加入者500万人へ」という記事が掲載されました。4月以降、富士通やNTT、全日空などの大企業に導入が広がる見通しとの内容でしたが、背景には、一昨年まで、ずっと続いてきた長期デフレ、ゼロ金利、運用環境の悪化に伴う企業側の年金積立不足と将来の年金債務の膨張を抑える狙いと、昨年来からの円安株高の流れによる運用環境の好転、更には先日2月13日を、2・1・3でNISA(ニーサ・少額貯蓄非課税制度)の日として啓蒙に躍起になる各金融機関の動きに象徴されるように、「貯蓄から投資へ」の機運が後押ししているタイミングも大きく影響しているように思います。年間数千億規模の年金関係費用を抱える大企業にとって、確定拠出年金制度導入の効果は非常に大きいですし、確定拠出年金の資産残高が2012年末でまだ7兆円超と、確定給付企業年金や厚生年金基金といった、他の年金の資産残高の未だ8%強に留まっていることからも、今後も加速度的に増加して行くことは自然の流れだと思います。

 ただ、こういった記事を目にしますと、「メリットが大きいのはやっぱり一部の大企業とその従業員か…」という印象を与えてしまっているところに、制度発足から普及期に差し掛かる迄に12年もの歳月を費やしてしまった要因があるのではないかと感じます。

 弊社も一昨年の10月から「企業型確定拠出年金」の取扱いをスタートしていますが、取扱を決めた最大の理由は、制度導入のメリットが弊社のメインクライアントである、中小企業の経営者とその従業員の方々にとっても、非常に大きい効果をもたらすと判断したからです。(勿論、弊社、私自身でも始めたかったという理由もありますが…)

 昨年8月に「オーナー経営者」を対象として確定拠出年金のセミナーを開催させて頂いたことを当ブログでも紹介しましたが、実はこれが予想以上に大きな反響を頂きまして、今もご参加頂いた企業様からの依頼で相談、導入手続きがずっと続いている状況です。確定拠出年金制度導入のメリットは沢山ありますので後述させて頂きますが、その中でも特に、中小企業経営者が企業型確定拠出年金の導入を決断される最大の決定要因は、前回のブログで岩松会計士が問題提起されていました「社会保険料の負担軽減」に大きな効果を発揮するからに他なりません。

 それでは、まず先に、日本の年金制度についてざっくりまとめてみたいと思います。
国民の老後の生活を保障する年金制度は、全ての国民に加入義務がある「公的年金」民間が運営する「企業年金」で構成されています。公的年金は2階建てで、1階部分は基礎年金と呼ばれる国民年金、2階部分は厚生年金と共済年金で、労使折半で報酬・給与に比例した保険料を支払っています。

 
企業年金はこれらの公的年金に更に上乗せされることから3階部分と呼ばれ、確定給付企業年金や厚生年金基金が主でしたが、ここに来て、確定拠出年金が3階部分の担い手としてクローズアップされて来ました。その背景には、運用環境の悪化による企業の負担増や、年金の積立不足を「負債」として貸借対照表に計上しなければならないという会計基準が適用されるようになってきて、企業側にとっては自己資本の目減りや資金調達コストの上昇につながるなどのデメリットが生じることから、運用リスクを従業員が負う確定拠出年金への移行が加速しているという側面があると言えます。

 次に確定拠出年金ですが、これは米国の年金制度「401Kプラン」をモデルに2001年に創設された経緯から「日本版401K」とも呼ばれています。毎月の掛け金(上限51,000円、他の年金制度を併用している場合は半分の25,500円)を元手に、加入者が予め用意された投資信託などの金融商品を選び、運用します。企業が掛け金を拠出する「企業型」と個人が拠出する「個人型」があり、加入者一人一人の運用成績に応じて受け取る年金額が変わりますので、運用成績によっては年金が目減りするリスクもある反面、転職しても年金を転職先に持ち運べる利点があります。原則60歳で受給権を取得し、年金又は一時金で受け取ることになります。

 確定拠出年金のメリットは、掛金拠出・運用・給付それぞれで税制などの優遇措置が認められている点です。
①掛金→給与所得として扱われない為、所得税・住民税が課税されず、さらに社会保険料の算定対象からも外れます。また企業は掛金が全額損金算入出来ます。
②運用→運用期間中の利息や配当等の運用収益は全て非課税となります。
③給付→60歳以降に受け取る老齢給付金には控除が適用、税負担が軽減されます。
   〇一時金で受取=退職所得控除  〇年金で受取=公的年金等控除

 では、今回のテーマとなる確定拠出年金制度を導入するに当たって、特に中小企業側のメリットは何かと言いますと、この制度を敢えて「選択制」とすることによって、現行給与を「新給与」と「生涯設計手当」に分割(現行給与は新給与と生涯設計手当の合計額と同額)し、この部分を「生涯設計前払金」として「新給与」と合わせて受取るか、「確定拠出年金」として積立てるかを、上限51,000円、1,000円刻みで従業員の皆様自身(役員も含む)に選択して頂く形で制度導入する事により、結果的に「総人件費の見直し」が図れる点にあります。ポイントはあくまでも、現行の給与水準を変更すること無く、会社側が老後資産形成をサポートする為に、上述した3つのメリットを従業員に提供することが出来、結果として何割かの従業員が生涯設計手当を確定拠出年金として積立てれば、税金(所得税・住民税)や、労使折半で負担している社会保険料の抑制効果が期待出来るという、労使双方にとってメリットのある効果が発揮される点にあります。

 そもそも中小企業の多くは3階部分の企業年金を導入していませんし、新たな年金原資の負担は人件費のアップに直結しますから当然、抵抗感があります。それに対して、企業型確定拠出年金制度では、従前の給与支給額のうち、確定拠出年金の積み立て分が社会保険の対象から外れますので、むしろ人件費が軽減されることになります。

 一方従業員側も、給与の総支給額が同じままでも、企業型確定拠出年金制度を利用することによって、金額によっては厚生年金や健康保険の標準報酬等級が下がり、所得税、住民税も減額された上に非課税貯蓄が出来るというメリットが生じますので、まさに「自分年金作り」として選択を検討する人も増えると思われます。

 加えて、確定拠出年金制度を導入している企業に対して、大企業や個人型確定拠出年金を利用している比較的金融リテラシーの高い人材にアピールするポイントとなる効果もあるといわれており、中小企業経営者にとって頭の痛い、優秀な人材の確保・定着にもプラスに働く可能性があると言えます。

 最後に、確定拠出年金制度の導入により、実際にどのくらいの社会保険料の圧縮効果があるかにつきましては、従業員の人数、各々の給与水準、確定拠出年金を選択する人数と掛金等によって様々ですからシミュレーションしないと計算出来ませんが、ざっくりとした数字にはなりますが、従業員20名(役員含む)、平均給与35万、内確定拠出年金利用者6割12名、掛金合計が月32万くらいのケースで、年間60万円弱の圧縮効果が見込まれますので、従業員の数が多い企業程、導入によるコスト削減効果は大きいと言えます。

 確定拠出年金の導入に当たっては、制度設計(加入者の範囲・掛金額等)、就業規則・育児・介護休業規程等の整備、給与ソフトの設定変更、従業員説明会の実施、従業員への投資教育等の留意点が数多くあり、結果的に給与制度の変更や、役員報酬の改定を伴う場合がありますので、実務面では弊社の委託先運営機関であります、SBIベネフィットシステムズ、また税理士や社会保険労務士の見解、サポートが必要な場合は、当丸の内アドバイザーズグループが連携して対応しておりますので、ご関心のある企業様におかれましては、弊社フィナンシャルリンクサービス、若しくは丸の内アドバイザーズのメンバーまでお気軽にお問合せ下さい。

 加速的に進む少子高齢社会に伴い膨張する社会保障費、国のインフレ政策による資産価値の減少、更に中小企業にとって特に重要となる生産性の向上と適切なコストダウン、そして老後の資産作りに、確定拠出年金の果たす役割は今後、益々大きくなって来ると実感している次第です。
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