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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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相続税がゼロでも申告が必要な人 

【相続税がゼロでも申告が必要な人】
by 岩松琢也

 公認会計士・税理士の岩松琢也です。

 税制改正で相続税の課税が強化されることに伴い、うちは相続税がかかるのだろうか?といったご心配をされる方が増えているようです。特に、相続税の基礎控除額が減少することによって(現状5000万円+法定相続人数×1000万円→改正後3000万円+法定相続人数×600万円)、これまで相続税を納めなくて済んでいたのが、納税しなくてはならなくなるというケースは、相当増えると見込まれています。
 
 統計上、現状年間約120万人くらいの方が亡くなるのに対して、相続税の申告が必要な人は4%くらいといわれておりますが、上記の改正でこの割合は6%あまりに増加すると見込まれています。これを亡くなった人の人数に直すと、2~3万人くらいは、申告する人の件数は増えると考えられます。

 ところで、相続税は、申告しなくてもいいケース(納税額が発生しないケース)と、申告・納税が必要なケースの他に、「申告すれば納税しなくても済むが、申告しないと税額が発生してしまうケース」があるのはごぞんじでしょうか?

 相続税は、亡くなった人の遺産に対して課税される税金ですが、上記の基礎控除額よりも遺産が少ない場合は税額はゼロになりますので、申告をする必要はありません。逆に、税額の発生する人は、相続の発生(被相続人の死去)を知ってから10ヶ月以内に申告・納税を行わなければ行けないことになっています。それでは、申告すれば納税しなくてもいいが、申告しないと納税が必要になるとはどういうことかといいますと、相続税では、上記の基礎控除の他に、「配偶者控除」や「小規模宅地の課税の特例」など、申告期限内に遺産分割を確定して申告書を提出することを条件として認められる控除がありますので、これらを使うことにより納税額をゼロにすることができるという人は、申告書を提出する必要がある、ということです。

 配偶者控除と、小規模宅地の課税の特例というのは、前者は亡くなった人の配偶者が相続する財産についての特例で、後者はいろいろ複雑なのですが、たとえば亡くなった人の住んでいた家に、子供などの相続人が住み続ける場合などについての特例ですので、両方とも現実の相続でも適用されることの極めて多い特例です。

 最近ご依頼のあったケースですが、都内にマイホームをお持ちでローンはすでになく、子供さん二人が相続人というケースがありました。同居していたご長男家族がそのお家に住み続けることになっていたので、小規模宅地の課税の特例を使って申告を行い、納税額はゼロになりました。
 課税財産の内容は、大まかにいうと、現預金および証券等の金融資産が約4000万円に、マイホームの評価額が約5000万円(底地の面積は40坪ほど)と合計9000万円です。相続人が子供二人なので、基礎控除だけだと2000万円が課税財産(9000万円-5000万円-2人×1000万円)になりますが、小規模宅地の課税の特例を使った結果、マイホームの評価額が5000万円から1000万円に減少することになり、その結果、金融資産との合計額が5000万円と基礎控除を下回ることになって税金が発生しなくなったということです。

 ここで、税制改正にからんで注意が必要なのは、上の例では基礎控除は7000万円ありましたが、税制改正後は4200万円になってしまいますので、上記の方でも税制改正後であれば税額が発生した、ということです。
 そして、4200万円を超えると税額が発生する、ということは、金融資産が1000万円あまりあって、マイホームの評価額が3000万円あれば基礎控除とほぼ同じ金額になりますので、ローンがなければ申告が必要かを判断する必要があります。つまり、都内で持ち家があってローンがなければ、そのほとんどの人は申告を検討する必要がありそうだ、ともいえます。もちろん、そうした場合でも、上記の事例のような小規模宅地の課税の特例を使えば、多くの人は税額がゼロになったり、かなり税負担が軽減されるはずですが、たとえ税額がゼロになるのだとしても、申告をしないと特例が適用されないことは肝に銘じる必要があります。

 最後にもう一つご注意頂きたいのは、上記の特例の条件として、申告期限内に申告書を提出することに加えて、申告期限内に遺産分割が確定していることも必要だということです。これは、相続争いが起きて遺産分割が確定しないと特例も使えなくなってしまうということを意味します。相続争いが起きると、申告、納税にも不利が出かねませんので、争いが起きないよう、事前の準備も必要です。


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