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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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経営者の身の引き方 ③ 

【経営者の身の引き方 ③】
by 加藤雄一

 私は、丸の内アドバイザーズグループの登記関係を担当しております四谷司法事務所の司法書士加藤雄一と申します。

 前回の続きです。

<MBOによる内部承継とは>
 MBOとは最近ではよく聞くと思いますが、Management BuyOutの略称でマネジメント バイアウトと言います。会社の副社長や専務などの現経営陣の全体や一部で株式を創業者やオーナーから買い受けて事業を承継していくことです。同じ様なものでEBO(Employee Buy Out)という非役員の部門長や従業員が譲り受けるものや、MBOとEBOの合わせ技のMEBO(Management and Employee Buy Out)というものもあります。
対象になる会社の経営を把握しているコンサルタントや金融機関などがこの手続きを勧めてくることもあるようです。

 一般に、経営者が社内の優秀な社員(番頭さん)などに会社を承継させようとする場合、後継者が会社の株式を買い取る資金があるかどうかが問題となります。
業績や財務内容がよくて株価が高い会社だと、内部の社員では株式を買い取るだけの手元資金がありません。かといって、株式を買い取らずに経営だけを引き継いでも、経営者としての地位や経営権は安定せず、雇われ社長にとどまってしまいます。そこで、会社の資産(現預金や不動産など)を担保に融資を受けてその資金で株式を買い取る、というタイプのMBOが行われる、というケースが多く見られます。


メリット
・内部の有能な社員に事業を承継させることができる。
・後継者がオーナー経営者として事業を引き継げる
・オーナーとしては株式の売却により譲渡代金を得られる

 事業承継者自身がオーナー会社経営の立場になるため、意欲溢れる者や有能な人材が事業を承継することが考えられます。また、既に会社で役員の地位であったものであればよりスムーズに経営者に移行することが可能です。長年事業に携わってきた、当会社のことをよく知る人物に承継させられるということが最も優れた点と言えます。

 オーナーとしても株式の売却により、まとまった譲渡代金を得ることが可能です。

デメリット
・多額の資金調達をするのに、MBOする側の覚悟が必要
・外部のコンセンサスを得られるとは限らない
・金額の算定に注意が必要

 MBOの場合、今までは雇われ経営者であったり、一介の取締役(ないしは従業員)にすぎない立場であった者が、一度に多額の資金を借り入れることになったりするため、自信や勇気に加えて、相応の覚悟が必要であると言えます。また、複数の経営陣でMBOを行う場合は各自の責任の所在や、MBO後の担当の割り振り、取り決めなどを行っておかないと後日の紛争の種になってしまいます。

 オーナー創業者から、経営陣が会社を買い取った場合は、外部から見ると、現経営陣がオーナーを追い出したような内紛のように見られることもあります。また、何も知らない従業員も動揺が走る恐れもありますので、極力オープンな形で進めていくことも考えられます。
反対にオープンに進め過ぎると他からの横やりや、邪魔などが入ることも考えられますので、対策が難しいところです。

 内紛と見られなくとも、旧経営者の信用力や属人的な人間関係でつながっていた取引先や、旧経営者の個人保証によって融資をしていた金融機関が事業承継に難色を示すなど、新経営陣が外部から事業承継についてコンセンサスを得られない事もあります。

 株式の買収金額は、会社の株価算定により決定しますが、MBOの場合、これから会社の株式を買い取ろうとする後継者たちは、業績を上げて会社の評価が高くなると、将来MBOを行うときの買収金額も高くなってしまいますので、利益が相反することになります。そのため、後継者達は将来自分達(現経営陣)が安く会社を買い取れるように、現在の業務を手抜きして会社の価値を下げておこうとする恐れが生じます。また、MBOをする際に、旧経営者側と後継者側とで、買収金額を巡って争いとなることもあります。


<合併、分割とは>
 合併は、2つ以上ある会社が契約によって1つの会社になることです。合併された会社は消滅して無くなることになります。反対に分割の場合は現在ある会社が2社以上に分かれることです。

メリット
・企業規模の拡大
・資金調達が無くても可能

 会社を合併することにより、二つの会社が一つになるので、その分企業規模が拡大することになります。

 株式の売却などでは、株式購入資金が必要になるものですが、合併の場合は合併される会社の所有者(株主)に対して、現金の交付も出来ますが、現金に限定されず、自社の株式を交付することも可能です。その場合は現金が無くても合併が出来るわけなので、資金の調達が無くても合併が可能です。

デメリット
・簿外債務なども包括的に承継してしまう
・合併手続きにコストがかかる

 合併により、会社そのものを承継することになるので、その会社で行っていた契約などは、好ましいものもそうでないものも包括的にそのまま引き継ぐことになります。そのため、簿外債務等があった場合でもそのまま引き継ぐこととなります。事前の調査や準備が大切になります。

 合併手続きには、債権者保護手続による公告などで、ある程度のコストが発生すると共に一定の日数を要します。実際に合併を検討する際には、手間と費用、時間等の面で負担を感じるケースは多いようです。


<まとめ>
 こうして記載してきましたが、事業承継タイプだけでも、複数あり、また、どの方式を採用するかは各会社の状況や将来どのようにしたいのかでも変わってくるものです。私は司法書士の立場からの意見になりますが、税務面、社員の人事面、社長の意向、法律面など、いろんな面から検討していく必要があります。
一人の意見だけではなく、より多くの専門家の意見を取り入れて失敗しない事業承継を行っていただきたいと思います。

以上
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