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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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金メダルの数とグローバル経済 

【金メダルの数とグローバル経済】
by 伊月貴博

フィナンシャルリンクサービスの伊月です。

今月閉幕したロンドンオリンピックの余韻も、銀座の凱旋パレードでほぼ一段落といったところですが、各国の金メダルの数を経済との関連性という視点で振り返ってみますと、意外な共通点、因果関係、トレンドが見えて来ます。
そもそもオリンピックは、開催国にもたらす経済波及効果が非常に大きく、開催される国の株式や債券(通貨)、投資信託、不動産(リート)等が、次に開催国の決まる6~7年前から大きく値上がりする傾向が強いので、先回りして投資アドバイスをすることで、クライアントに対し、一定のパフォーマンスを提供する事が出来ます。
特に、世界のアスリートが1都市に集う近代オリンピックは、産業革命の成果である交通手段の革新と新興国の経済成長があってこそ実現したもので、開催地域もこれまで欧米中心から、アジア、オセアニア、南米大陸へと広がって来ています。

 私が証券会社に入社した年(1987年)から現在までを振り返りますと、1988年のソウル(韓国)、2000年のシドニー(オーストラリア)、2008年の北京(中国)への投資アドバイスで成功した体験は今でも忘れられません。

 さて今回のロンドンオリンピックですが、何といっても米国が金メダル数で46個と、36個だった前回北京五輪では地元中国に首位を譲ったものの、2大会ぶりに1位を奪還しました。銀メダル、銅メダルを合わせたメダル総数も104個で、唯一の3桁乗せとなりました。前回のブログ「外貨は今、買いか?」シリーズでも書きましたが、やはり米国は世界№.1に対する拘りが経済、金融、軍事、ITに止まらず、流石、スポーツにおいても覇権国家としての地位とプライドを見せつけたと言ったところでしょうか。

 また21世紀に入って、「世界の工場」としての地位を確固たるものとした中国は、開催国の利を活かせた4年前の北京には及ばなかったものの、金メダル数で38個、メダル総数で88と、米国に次いで2位となり、これはまさに、国内総生産(GDP)で日本を抜き去り、世界ランキング2位となった順位と一致します。

 開催国である英国は、前回の19個から29個に躍進し、目標を一つ上回る3位でした。ユーロ加入を頑なに拒否し、米国を始めとした先進国の国債格付けがリーマンショックや欧州危機の余波を受け、軒並みAAAの最上位ランクを失う中、数少ないAAA格を維持し、昨年度の国・地域別の国債トータルリターンで約17%と、堂々世界第1位の利回りを叩き出し、ポンドここにあり!と知らしめたイギリスは、やはり評価に値すると思います。18世紀、英国で始まった産業革命から現在までの歴史の重みというか、女王様のお国というか、オリンピックを3回も誘致出来た国は他にありません。

 4位のロシアですが、金メダルこそ24個と3位のイギリスに5個及ばなかったものの、メダル総数では82個と、イギリスの65個を大きく引き離し、2位の中国とわずか6個差でした。ロシアは今夏に世界貿易機構(WTO)に加盟することになっており、経済が飛躍する切っ掛けになる可能性は極めて高いことが想定されます。加えて、2014年のソチ冬季五輪や、2018年のサッカーワールドカップの開催国としてインフラ投資が必要になっており、成長を支える要因になることは間違いありません。

 そして今回のオリンピックで何処の国よりも、経済との関連性が極めて強かったと感じさせられた国は、金メダル数13個、堂々5位と大活躍した韓国です。先日の日経新聞の景気指標にコメントを寄稿した朝鮮日報の特派員が以下のような分析をしていました。「韓国は途上国と先進国の狭間にあるから…」と。
1988年のソウル大会で活躍した韓国選手は「貧しい家の子で、がむしゃらに練習し、激しい闘争心で試合に勝つ」タイプが多く、メダルを取る競技もボクシングなど、格闘技中心で、今大会も男子跳馬で韓国初の体操での金メダルを獲得したヤン・ハクソン選手はその代表例で、両親は農村のビニールハウスに住んでいて、お金のかからない競技として体操を選び、金メダルを取って両親にちゃんとした家を建ててあげる目標を掲げていたそうです。
 しかし最近の韓国は水泳などの「先進国競技」でも普通の家庭の子供が活躍して上位に食い込む例が目立つようになり、その背景には、経済成長により海外で科学的訓練を受けたり、プールなど、メダルを取る為の社会資本が整った要因が大きいことがあげられます。確かにソウル大会当時の韓国の一人当たりGDPは4,570ドルで日本の5分の1。今年は23,000ドルと、日本の約半分にまで迫っています。韓国のメダルラッシュは両タイプの併存にあると、その特派員は結んでいました。

 ただ、私が韓国のすさまじさを感じたのは、メダル総数では28個と、総数38個の日本を10個下回ったにもかかわらず、金メダルの数に限れば、7個に終わった日本の倍近くを獲得しており、やはり「1番になる」執念が違うのかな?という点です。日本と異なり、メダルを逃した後に「五輪を楽しみました」と答える韓国選手は一人もいません。
 確かに、多額の報奨金や徴兵免除などのインセンティブも要因の一つかと思いますが、私は、「1997年の経済危機を期に、韓国が競争社会に変身したから」であると考えます。破綻の危機に直面した韓国の企業経営者は、死に物狂いで「世界一」を目指しました。終身雇用や年功序列も無くなり、社員も厳しい選別にさらされ、少しでも気を許せば落ちこぼれるという恐怖感が韓国社会には満ち溢れています。MDRTの世界大会に出席した時にいつも感じるのは、韓国人会員のメンタルと目標達成意欲の強さです。彼らと話をすると、「勝たなくても頑張れば褒められる日本が羨ましい」と言われます(私個人的にはそうは思っていませんが…)。現実、MDRTの国別会員数で日本は3年前から韓国に会員数で抜かれ、現在は1位米国、2位韓国、3位日本の順で固定化しつつあります
 言い換えれば、金融サービスに携わる韓国人一人当たりの付加価値、生産性が、日本より高い事の証明であると言えます。金メダルに届かない日本選手や、韓国企業の後塵を拝するばかりの電気業界の決算を見てもしかり、やや情けない思いに駆られます。

 ここで地域別の金メダル数を集計してみましょう。
東アジアの日中韓3国の合計は58で、北米(米国・カナダ・メキシコ)の合計48を10個上回ります。一方、EU(欧州連合)の合計は90を超え、北米の2倍近い数です。確かに6位と7位がドイツとフランスで共に11個、8位のイタリアが8個と、経済危機とは裏腹に健闘が目立ちます。やはり「腐っても鯛」、歴史と伝統の意地があるのでしょう。

 地域ではありませんが、新興国代表のBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の合計は65個で、EUと東アジアの間に割って入ってくるあたりはさすがに勢いを感じます。金融危機の後、世界経済を牽引したBRICs4カ国の成長の減速が続いていますが、上述した金メダル2位の中国と4位のロシアに続いて、鍵となる国はブラジルだと考えます。開催国となる2014年のサッカーワールドカップや2016年のリオデジャネイロ五輪を契機に、経済のボトルネックだったインフラ整備も進み、今後の成長基盤となる事は間違い無いでしょう。 先進国で成熟国であるイギリスと、この10年間で中間所得層の人口が2,000万人増加したブラジルとでは、オリンピック開催に伴う経済波及効果は全く違ったものになると思います。
投資の面からも、経済成長のモメンタムは強く、2013年はBRICs経済復活の年になると私は見ています。

 最後に日本。金メダル7個はオーストラリア、カザフスタンと並んで11位。メダルの総数38個はドイツの44個に次いで6位でしたが、例えば、GDPにリンクさせるなら3位に入るべきですし、先程の韓国との比較では無いですが、人口が半分以下の隣国に大きく引き離されてしまった最大の原因はやはり1番に対する拘り、競争心、危機意識が相対的に足りていなかったのではないかと感じます。メダルの中身もサッカー、バレーなど、チームで戦う団体競技や男女の水泳メドレーリレー、女子卓球、男子フェンシング、男子体操など、団体戦で金星が多かったのは、やはり日本は集団主義の国なのか、とも思わせられましたが、国境が低くなった現在のグローバル競争の時代では、国家の枠内で力が発揮できても、「個」が強くなければ勝ち残っていけない…。

 ともあれ、日本のメダル総数が過去最多だったことは朗報ですし、日の丸を背負って汗を流した選手の方々からは、少なからず私も感動と勇気を貰うことが出来ました。
 借金まみれの経済に加え、足の引っ張り合いに汗を流している永田町…オリンピックのメダルとは裏腹に、政治と経済が日本の最大のリスク要因であることは疑いようがありません。

 因みに…4年後、2016年のブラジル・リオデジャネイロオリンピックの次、2020年の夏季オリンピックの開催国に、3カ国が候補にあがっています。
 皆さん周知の通り、東京(日本)、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)です。
 果たしてどこの国に決まるでしょうか?
 私も日本人なので、東京で開催されると個人的には嬉しく思いますが、経済・財政という側面から見ると、先のこととは言え、財政難に苦しむ日本、スペインに決まる可能性よりは、経済発展が著しく、ブラジル同様、財政危機を脱したトルコに軍配が上がる確率が高いのではないかと推測しています。

 開催地の決定は2013年9月7日、ブエノスアイレスで開催される第125次IOC総会です。

 以上、今回はオリンピックと経済を重ねてみましたが、リンクする部分が意外と沢山あり、投資においても参考になる部分が多々あるかと思います。
 グローバル経済において、成長性の高い地域に国際分散投資をして、一定のリターンを享受することは、自身の財産を守り、育てる上でも今後益々重要になって来ます。
ご興味、ご関心のある方は個別にご相談下さい。投資金額、期間、リスク許容度に応じて、個別にポートフォリオを組ませて頂きます。
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