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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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外貨は今、買いか?? ② 

【外貨は今、買いか?? ②】
by 伊月貴博

 フィナンシャルリンクサービス代表の伊月です。

 前回からの続きです。

②購買力平価
 為替相場を長期トレンドで見ていく上で、経済合理性から最も参考になるのが、物価変動率との「差」で示される「購買力平価」という考え方です。購買力平価は、インフレ率の高い国の通貨は長期的に下落するという考え方です。例えば、ある年の為替相場が1ドル200円だったとして、その後の日本の物価は横ばいなのに、米国が2倍に上昇すれば、円でモノが買える量は変わらないのに、ドルで買える量は半分に減る。結果、ドルの通貨価値の下落を反映し、為替は1ドル100円と、円高・ドル安に動くという理論で、言い換えれば、通貨の実質的な価値は、購入できるモノやサービスの量で決まり、物価の上昇は「同額の通貨で買える量の減少=実質的な価値の低下」となり、実質的な価値の変化は、他の通貨との交換比率である為替レートにも反映されることになります。

 例えば、過去25年のビッグマックの価格で為替レートを算出すると、
1986年  日本370円  米国1.60ドル→370÷1.60=231.25円
2011年  日本320円  米国4.07ドル→320÷4.07=78.62円
この間、米国経済は様々な危機を経験しつつも、一定のインフレと経済成長を続けて来た結果、ビッグマックの価格も約2.5倍に上がりましたが、デフレに苦しむ日本のビッグマックの価格はやや下落したので、結果的にドルの実質的な価値が大幅に下落したことになります。

 これはビッグマック版購買力平価ですが、ビッグマック限定でもかなり実績値に近い数字になりましたが、より広範囲に日米のものやサービスの価格の変化を反映する、消費者物価指数を基準に購買力平価の理論値を計算すると、やはり長期的には実績値と非常に近い動きをしています。一方、この購買力平価の長期トレンドと、為替の実績値との乖離部分で通貨の割高・割安を計る事が出来ます。この考え方で弾いた、長期トレンドで見る購買力平価の為替理論値は現在約89円ですから、この点から見ますと、現在は約10円、理論値に対して円高水準にあることになります。

③金利差
 金利と為替は、非常に密接な関係にあると言えます。金利も為替と同様、「短期金利」と「長期金利」がありますが、端的に言うと、短期金利は中央銀行(日本の場合は日銀)がコントロールしながら恣意的に決定しますので、重要なのはやはり、市場によって決定される長期金利という事になります。一般的に、お金は金利の高い国、通貨を求めて流れる傾向がありますので、高金利の通貨は買われる傾向があり、低金利の通貨は売られる傾向があります。では日本の金利はここ何年もずっと0%で世界一低いのに何故円高なの?という疑問が湧いてきます。
答えは簡単です。先程の購買力平価でも触れましたが、日本はここ十数年、ずっとデフレ=物価下落でしたから、物価変動分を加味した実質金利は本来、大幅なマイナス金利にしなければ、経済合理的にも合わない事になります。もし、日本が実際にマイナス金利したらどうなるでしょうか。銀行にお金を預けているだけで金利が差引かれ、元本が目減りするとなると、預金をする人は誰もいなくなって、一斉に銀行から預金の引出しが行われます。 
 元々、景気悪化で貸し出しを控えている銀行は、預金の大半を国債で運用しています。引き出しに対応する為、日本の金融機関が全て国債を市場で売却し続けたらどうなるでしょうか?国債暴落、銀行は預金封鎖、国は財政破綻という最悪の負の連鎖が襲い掛かることになります。従って、日米の金利差から為替を説明すると、本来であれば、大幅なマイナス金利にしなければバランスしない日本が0金利で踏み止まった結果、リーマンショックを発端とした世界景気の悪化に伴い、約5%だった米国の金利が0%に鞘寄せし、日米金利差が縮小した事によって、円高ドル安になったと言えます。

 従って今後、米国景気が回復し、日米金利差が拡大していく局面においては、米国への投資、資金の流れが活発になり、結果として世界最大に金融市場を有する通貨であるドルが高くなります。世界一の消費大国である米国の景気回復は、同時に新興国や資源国の経済の回復を意味します。今日のような経済のグローバル化が進展すると、好景気時は米ドルだけでなく、連動して成長国の通過も同時に高くなる、所謂「リスク・オン」の状態になり、これらの通貨に対して、円が独歩安する可能性があります。逆に、現在のような欧州危機が発生した時は、一斉に資金が逆流し、避難先となる円やスイスフランといった、リスク・オフ資産が買われます。
昨年11月の75円から徐々に進行する円高修正は、世界の金融市場がリスク・オフからリスク・オンに緩やかに向かい始めた事を反映しているのではないでしょうか。


④人口動態
 冒頭で、為替は国と国との力関係で決まると申しましたが、国力を現す最も明快でシンプルな指標がその国の人口です。当り前のことですが、人口、とりわけ働き盛りの労働力人口の絶対数が多く、かつ増加傾向にある国は、GDPを含めた経済のパイも大きくなり、通貨も強くなる傾向があります。

 1971年、1ドル360円から変動相場制に移行してからの日本は、オイルショックを乗り越え、高度経済成長を突き進んで来た過程において、日本の総人口も1884年の3,500万人から、現在の12,700万人迄増加してきたトレンドにリンクする形で、75円迄円高が進みました。
しかしながら、総務省が発表した昨年10月1日時点の日本の推計人口は、年間で25.9万人の減少という、過去最大の減少となった事に加え、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した、長期的な日本の人口を予測した「将来推計人口」によると、50年後の日本の人口が8,674万人と3割減少し、内65歳以上が5人に2人を占める他、働き手である15歳~64歳の生産年齢人口は現在の8,173万人から4,418万人に半減するという、驚きのデータを公表しました。更に100年後には4,459万人にまで人口減少が続くと予測しています。人口ピラミッドが逆三角形になり、肩車型の社会保障になれば、経済の活力は低下し、国力の集大成である為替も、山を下っていくかのように360円に向かって逆戻りしていく事が考えられます。

 一方、世界の人口は70億人~90億人に向けて、爆発的に増加していく事が予想されています。かつての日本のような、人口ボーナス期に突入していく国の通貨は、当時の円と同様、高くなっていく事が想定されます。人口増加率が高い国と言えば、誰もが新興国を想像しますが、先進国の中では唯一、米国だけは移民政策と高出生率の恩恵を受け、人口も4億人に向け増加の一途を辿っています。アメリカン・ドリームではないですが、世界中からあらゆる分野の優秀な人材を集めて競争させる仕組みを構築している米国は、格差はあるものの、国家全体として高付加価値を標榜し、一人当たり生産性においても高い水準をキープし続けています。以上、言うまでもありませんが、人口において日米の差は量質共、開いていく一方です。

⑤政策需給
 冒頭、為替は最終的に「市場」で決められるとお話しましたが、国の政策や国際的な政治力等が働いて、時に意図的に市場をコントロールし、誘導するといった事が例外的に行われる事があります。これは一般的に「為替介入」と呼ばれますが、こういった国や政治の意志を為替に反映させるような介入が行われた事が切っ掛けとなり、短期狙いの投機筋が便乗する事も多く、暫く一方通行のトレンドに動く可能性が高くなることがあります。市場のエネルギーには群集心理が働くとお話しましたが、マーケットは時として行き過ぎる事がありますので、それを意図的な介入によって抑制し、市場にメッセージを与えるという意味では一定の効果はあります。ただ、こういった介入も、日本が単独で行うのと、他の国と一緒に行うのとでは効果は全く違ったものになります。昨年11月、欧州危機により、ドル円レートが80円を割って円高になった時、安住大臣が日本単独で円売りドル買い介入を何回か行いましたが、殆ど効果はありませんでした。一方、1995年4月、日本のバブルが崩壊、日本企業の海外撤退が相次いでいた動きに投機筋が円買い攻勢をしかけた為、円ドルレートが一時79.75円を付けましたが、この時は先進7カ国のG7が一斉に円売りドル買いの協調介入を行った結果、円高トレンドが一転し、3年後の1998年には147円迄円安に進んだ経緯があります。

 以上のことからもお解り頂けるかと思いますが、為替を意図的に動かす力は、日本一国には無いという結論が導かれます。言うまでも無く、世界の通貨は「基軸通貨」である米ドル中心に動いています。通貨の発行量、決済機能、流動性、信用力どれを取っても米国ドルに代替する通貨はありません。唯一、対抗馬とされていたユーロは今や、崩壊の危機です。

 極端な言い方をすれば、米国が本気になれば、基軸通貨国の特権を最大限利用し、ドルの水準を意図的にコントロールする事が出来るのです。米国政府には「強いドルは国益」であるという基本政策がありますが、現状、米国が今の為替水準を容認している背景には、ドル安による恩恵を享受しておきたいという思惑が働いていることが考えられます。

 以上、為替が動く5つの決定要因を私なりに分析させて頂きました。
総括すれば、①~⑤、どの要因を見ても、中長期の見通しの中で、円が強くなる理由はどこにも見当たらないというのが私の結論です。

 最後に付け加えておきたいのは、これらの現状に加えて、昨年発生した震災・原発リスクが、資源の無い日本のエネルギーコストを上昇させ、更なる企業の競争力低下・産業の空洞化による国力低下に追い討ちをかけることになれば、財政破綻という、ハードランディングが現実味を帯びてくる可能性が高まると私は見ています。もし、ハイパーインフレになり、円の減価が進めば、財産をヘッジする手段としての外貨資産が、生活の保険の役割を果たすことになるのは自明の理です。

 外貨建金融商品と一言で言っても、株式、債券、投資信託、保険、年金と、色んな商品がありますし、通貨も複数選択出来ます。目的や期間、リスク許容度に応じた個別相談を承っております。
まだ外貨資産をお持ちでない方、少しでもご興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

最後にもう一度お伝えします。今は円高の歴史的な最終局面にあると私は見ています。
言い換えれば、日本人は今、外貨資産を最も安く手に入れる事が出来る、最後のチャンスです!
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