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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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外貨は今、買いか?? ① 

【外貨は今、買いか?? ①】
by 伊月貴博

 フィナンシャルリンクサービス代表の伊月です。
 世界経済は今、ギリシャの政治混乱から欧州危機の再燃リスクが懸念され、金融マーケットも再び円高・株安の状況に逆戻りしている環境も影響してか、最近、クライアントから「為替」の見通しについての問合せが急増しています。

 私も証券会社に勤務していた時から約四半世紀、マーケットの世界にずっと揉まれながら仕事をして来ましたが、為替の見通しについては、株式や債券等の有価証券と比べ、予測する事が複雑で難しいのが正直なところです。
 見通しにも「短期」と「長期」があり、例えばFX取引に象徴される「短期の見通し」は、限りなく投機に近いので、常に的中させる事はほぼ不可能ですが、5年~10年の「長期の見通し」については、ある程度体系立てて推測する事が可能です。

 今年に入り、某外資系生命保険会社から、所属する代理店と、代理店をサポートする職員向けに、外貨・為替についての研修をやって欲しいという依頼を受けまして、3月の札幌を皮切りに、仙台、盛岡、郡山、首都圏で開催し、今後も全国各支社を回らせて頂き、研修会を行う予定です。
 ここの保険会社は、「外貨建生命保険」をコア商品として取扱っており、販売を推進していくに際し、ネックとなっている為替リスクや市場の見通しと言った、保険商品そのものの説明をする前段階、即ち「外貨」の部分をキチンと説明する為に必要な情報や知識を習得し、結果として外貨建保険の販売拡大に繋げて行きたいという目的で研修を依頼されたのですが、生命保険はその商品の性格上、投資商品とは異なり、契約期間が長期間に及ぶ事から、外貨建生命保険を契約したクライアントは、結果的に外貨資産を生命保険という形で長期間保有し、為替リスクを負う事になりますので、生命保険そのもののニードを喚起する前に、外貨や為替についてのリスクや方向性を、クライアントに明確にお伝えし、ご納得頂かなければ契約には至りません。

 先に結論から申し上げますと、私自身、為替を長期トレンドで推測した場合、今は円高の歴史的な最終局面だと判断していますので、外貨建生命保険を含めた外貨資産は今、絶好の買い場に来ていると考えます。

 以下、外貨・為替について、何故今は買いの時期なのか、日頃、私がクライアントにアドバイスしている事、研修会でお伝えしている事を要約して纏めてみたいと思います。

 前提として、今やITの進展により為替を始めとした金融・マーケットに関する情報は、様々な媒体を通して溢れんばかりに発信され、クライアントと我々プロとの間での情報格差が全く無くなってしまっているという点を踏まえておく事です。大事なのは、その情報がどのくらい重要で、マーケットにどのようなインパクトや影響を与えるのか、また、溢れる情報の中で、どの情報が鍵になるのかといった事を見極め、体系立てて整理した上で、自分の考えに基づいたストーリーやシナリオを、自身の言葉で語りかけるといった、「情報編集能力」を日頃から磨いておく習慣をつけて頂くよう、研修やセミナーを通じてFP、FAにアドバイスをしています。
 情報が氾濫し、先の読めない不透明な時代にクライアントが求めているのは、結果責任の伴わないエコノミストや経済評論家のコメントやレポートでは無く、クライアントと同じ目線で解り易く、納得の出来るアドバイスを継続的に提供し、日々変動するマーケットの状況に臨機応変に対応しながら帆走してくれるプロフェッショナルアドバイザーだという事を忘れてはなりません。

 それでは本題に移りましょう。
為替と一言で言っても、通貨の種類は沢山あります。我々は日本人ですから、今回は「日本円」と、世界の基軸通貨である「USドル」、即ち円ドルの為替をベースにお話します。
 シンプルに言ってしまえば為替レートは国と国との力関係で決まります。即ち、力の強い国の通貨は買われ、弱い国の通貨は売られる訳ですが、その強弱を決定する要因として、以下、大きく5つあると、これまでの経験から私は結論付けます。
①財政経済力
②購買力平価
③金利差
④人口動態
⑤政策需給

この5つの決定要因に関連するデータの裏付けを時系列で整理し、トレンドや方向性を掴んで行きます。私はこういったデータの情報源を社会人一年生の時から毎日、日本経済新聞の切り抜きから得ています。日経新聞の読み合わせと関連記事の切り抜きは、証券会社時代に叩き込まれた習慣ですが、これを毎日毎日欠かさず25年間、継続して来た事によって、金融経済に対する自分自身の考えや見通しを発信する力が身につき、今では大きな財産となっています。SNSの影響からか、最近は新聞もi-pad等で流してしまう傾向があるようですが、テーマ毎に何時でも遡れるよう、紙ベースで整理し、残しておく事は実務上非常に有効です。加えて昨今、金融機関に勤めていても、日経新聞を読んでいない人がかなりいると聞いて、先月首都圏で開催した某外資系生保の職員向け勉強会に参加した100名余に、日経新聞(朝刊・夕刊)と日経ヴェリタス(週刊)を購読しているかどうか手を上げて貰ったところ、何と一人も挙手する人がいなかったのには驚きました。確かに私も雑誌や書籍、インターネットや証券会社から毎日送られてくるレポート等も、場合によっては参考にしますが、ベースとなる毎日の日経新聞だけは欠かさないようにしています。新人証券マンの頃、毎朝7時、クライアントのオーナー企業の社長が日経新聞を読んでいる時間帯に電話し、その日の重要な記事を共有して注文を取っていた時代が懐かしい今日この頃です・・・

 では、この為替を決定する5つの要因に戻りますが、為替にしろ、株にしろ、最終的にプライスが決定するのは紛れも無く「市場=マーケット」であり、その市場を支配するのは数々の取引参加者の、最も多数を占める群集心理に収斂していく事になります。従って、為替であれば、この①~⑤の変動要因を具に追いかけていくことにより、ある程度の方向性、トレンドが推測出来、結果的に予見される群集心理を先読みしていく事が可能です。それでは順に見ていきましょう。

①財政経済力
 まず、日本の財政を見る場合、絶対に外してはならないのが、財務省が毎年発表する政府予算の記事です。特に注意すべきポイントは、歳入の半分を占める国債の発行残高とその推移です。毎年毎年、雪だるまのように国債の残高とその利払費が膨らんで来ています。また、医療・介護・年金と言った社会保障関係費の増加が少子高齢化で加速化しています。財政の悪化に伴い、国債の格付けが低下傾向にある点も見逃してはいけません。経済面では貿易収支が31年ぶりに赤字に転落しました。日本の累積債務は1,000兆円を突破し、頼みの貿易収支も赤字に転落、少子高齢社会に突入し、デフレ・景気悪化に伴う団塊世代を中心とした貯蓄の取り崩しにより、債務を支えて来た金融資産も減少し始めました。一方、稼ぐ方のGDPもここ10年以上、全く増えていません。日本国株式会社、野田社長という視点から財政経済の現状を総括すれば、GDPの2倍の累積債務を抱え、歳入と歳出のバランスシートが年々悪化していく傾向にある会社に、従業員である日本国民は、ストックの貯蓄は預金を通じて国債という借用証書に吸い取られ、フローの収入は税金・保険料という形で事実上の給与カットを強いられている状況です。今では、国民の給与カットだけでは借金の消化が賄えないので、中央銀行である日本銀行が一生懸命お札を刷って国債を引き受けています。

 この状態が続けば、素人でもお札=円の価値が減価していくだろうと理解出来ます。
先程、株にしろ、国債にしろ、為替にしろ、プライスを決めるのは最終的に「市場=マーケット」であるとお話しました。万一、国債の需給関係が崩れ、入札で札割れするような事態に陥ればどうなるでしょう。国債マーケット市場は総売りの状態になり、株、円を含めたトリプル安に一気に陥るでしょう。国債の下落に伴う悪い金利の上昇が起きれば、国債を大量に保有する金融機関の含み損が噴出、自己資本比率の低下に伴う貸し渋り、信用リスクが表面化する事態は避けられません。日本の国債は外国人の保有比率が低い(現在約6%)から売られることは無いという見解を示している専門家がおられますが、逆の見方をすれば、金利・格付けも低く、安全確実に返済されるかどうかも解らない国の国債を外国人が買わないのは極めて合理的な判断ではないかと私は思いますし、ここ直近の欧州危機に対する退避資金が一時的に日本の円と国債に向かっていますが、これはあくまで逃げ足の速い短期資金である点を見逃してはいけません。更に外国人にしてみれば、円が下落し始めると為替リスクも膨らむとなれば、新興国も含め、魅力的な投資対象が沢山存在する中で、日本国債の購入は、火中の栗を拾いに行くようなもので、寧ろ強かな外国人は、国債先物市場を利用し、プット(売る権利)のポジションを増やし、国債価格の下落で利益を上げようとしている現実も留意しておくべき点です。

 以上の事から、日本の財政経済は非常に厳しい状況にあると結論付けざるを得ず、欧州債務危機は対岸の火事では済まされない状況にあると言えるのではないでしょうか。
特に、日本の財政については財務省のホームページ「日本の財政を考える」に、非常に解り易く図解で説明されています。

 次に米国経済はどうかと言うと、最も端的に現れているのが、経済を映す鏡と言われる株式市場です。確かにここ直近は欧州危機再燃リスクの余波を受け、米国株式市場も調整を余儀なくされていますが、NYダウは3月、4月、5月にそれぞれ13,200ドルを突破、リーマンショック前の高値に迫る勢いで、ハイテクの多いナスダック指数も11年ぶりに、3,000ポイントの大台を回復するなど、ドル安効果も相俟って、グローバルカンパニーやIT業界が過去最高益を更新しながら株高を牽引しています。日本の日経平均が過去最高値を付けた1989年末を100とした場合、日経平均は現在4分の1弱、NYダウは逆の4倍強となっています。また、米国はGDP、財政収支、失業率含め、消費、生産、雇用といった景気回復を占う指数も、まだまばら模様ながら着実に改善傾向にあると言えます。加えて今年は米国大統領選挙の年です。過去の経験則では政策期待等から株高や雇用改善に結びつくケースが多く、安定成長軌道に乗れるか、正念場の年になりそうですが、日本との力関係で比較した場合、明らかに米国の方が強いと言わざるを得ません。

(以下次回に続きます)
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