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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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会社は誰のものか(会社の意思決定) その2 

【会社は誰のものか(会社の意思決定) その2】
by 加藤雄一

 丸の内アドバイザーズグループの登記関係を担当しております、四谷司法事務所の司法書士加藤雄一と申します。前回からの続きです。

<株主総会の決議の瑕疵に対する扱い>

 株主総会の決議の瑕疵という難しい書き方をしましたが、つまりは、株主総会自体や総会を開くまでの道筋やその他で、ルール違反があった場合に、そもそも、この株主総会で決まったことはどうなってしまうのかということを、その瑕疵の内容によって区別することになります。

 具体的には下記の方法があります。
決議取消しの訴え(会社法831条)
不存在確認の訴え(会社法830条1項)
無効確認の訴え(会社法830条2項)

 全ての方法に訴えとありますが、まず、決議取消しの訴えは、訴えをおこして(裁判をして)裁判所に決議を取り消してもらうことになります。

決議取消しの訴えの要件としては
・招集手続、決議方法の法令定款違反・著しい不公正
・決議内容の定款違反
・特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議

が必要になります。そして、株主総会決議の日から3カ月以内に提訴しなければなりません。(会社法831条1項)

 その他のものは、無効確認の訴えは、もともと無効なわけなので訴えが無くても無効であり、不存在確認の訴えももともと決議が存在していたとは評価できない訳なので、訴えが無くても不存在といえますが、会社の側と評価が分かれる場合(会社は有効だと思っている。こちらは無効や不存在だと思っている)には訴えを提起すべきことになります。

 無効確認の訴えでは決議内容の法令違反、不存在確認の訴えでは「決議が存在したと法的に評価できない場合」であることが要件となりますが、訴えを起こさなければいけない期間や原告となる人について制限はありません。

 ここで、Bとしては、Aが株主総会を開催した場合でも、法定の手続きを経て開催している場合は、株主総会で議決権を行使したり、総会で意見を述べるぐらいしか対応はできませんが、たとえばBに対して招集通知を発送していないとか、その招集に問題があったりする場合は決議の取り消しを訴えることになります。
 また、そもそも総会自体が開催されていないとか、開催されていたとしてもとても総会の体をなしていないような場合には無効や不存在を訴えていくことになります。

 これに対して、Aが適法に株主総会を開催して、新しくほかの役員を選任したとすると、Bとしては、なすすべがなくなってしまうことになります。

 一方、結果としてBが勝つ可能性は低いですが、Bが少数株主として株主総会を開催することも可能です。(Bは取締役ですので、もともと株主総会を開催することができますので、ここでは取締役でない場合の少数株主の立場で考えます)

 Bが株主総会を開催したとしても、結局大株主であるAが出席し、議決権を行使すればBの意見や提案は否決されてしまうので、全く意味がないように思えます。

 しかし、総会を開催してその場で話し合いや検討の機会ができれば、少数株主であるBの意思表明ができることになりますし、今後の会社運営の中で、Bの意見を反映させるように変わってくるかもしれません。
株主としての考えを表明する場を提供してもらうということが大事なことであり、全く無意味な行為とまでは言えません。

<少数株主からの株主総会の開催要求および開催>

 では、具体的にはどのような手続きになるのでしょうか。
少数株主から株主総会の招集を請求できる場合は、以下のように定まっています。(会社法297条)
・原則として議決権の3パーセント以上の株式を有していること
・株主総会の目的となる事項と招集の理由を表示すること
・取締役に対して株主総会の招集を請求すること


 これは、株主総会を開催することではなく、株主総会開催の招集をかけるよう請求するものであり、会社に対して株主総会の開催を要求するという意味合いになります。

 そのため、自動的に株主総会が開催されるわけではなく、取締役の判断で招集をしないで、そのまま請求を無視することもできてしまいます。
(今後のこともあるので、簡単に無視してしまうことはお勧めできませんが・・・)

 もしも無視されるような場合でも、裁判所の許可を得て、少数株主が株主総会を招集することもできます。

 そうすると、Bが総会を招集したとすると、Bが主導で総会が開催されるため、議事進行に影響が出る場合も考えられます。そこまで考えると、Aとしては、開催を請求された場合には受けて立つというか、しっかり対応しておいた方が良いと言えます。

<役員変更の登記からの面>

 それでは、今回は役員を追加することで考えてきましたが、これを登記手続の面から考えてみます。
役員を追加する場合は役員変更登記を行うことになります。この場合、法務局には株主総会議事録を提出することになります。

「このように決議したので、役員が追加になりました」ということを証明するためです。法務局においては、その議事録の記載を確認することになり、実際に総会が開催されていたのかなどを確認することはいたしません。(形式的審査権)

 そのため、登記手続きさえできてしまえば良いと考えて、議事録だけ作成して、総会を開催していないことも実際ありうることかと思います。
そうしてなされた登記は、どのようになるのでしょうか?

 特に誰も無効を訴えなければそのままわからずじまいということになりますが、会社のお家騒動的な場面では、「勝手に役員が追加されている!」とかすぐにわかってしまいます。

 そうすると、総会自体が開催されていないのであれば不存在ですから、その役員選任の登記も無効ということになります。

 登記簿は、公正証書でもあるので、公正証書原本不実記載罪(刑法157条)に当たる可能性もあります。会社の登記簿謄本の記載だけで、そのような罪になってしまうこともあり得ますので、注意が必要です。

 罪とならないとしても、一旦登記したものが錯誤で抹消されるとか、更正登記がされるということもあるので、対外的にも見た目が悪くなります。会社の信用力が低下するとも言えると思います。

 ということで、今まで見てきたとおり、会社は、主に株主総会での決定が大きなウエートを占めているものであり、株主総会は株主が主役ですから、取締役は株主からの負託を受けている立場と言えます。

 以上のように、株式会社においては、最終的には株式の所有割合で、ほとんどの物事が決まることになります。しかし、法的に定められた手続を経ないと、思わず足元をすくわれてしまうということもありますので、重要な意思決定においては、法律に定められた手続きをよく理解して進める必要があります。
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会社は誰のものか(会社の意思決定) その1 

【会社は誰のものか(会社の意思決定) その1】
by 加藤雄一

 皆様、こんにちは。
私は、丸の内アドバイザーズグループの登記関係を担当しております。四谷司法事務所の司法書士加藤雄一と申します。

 今回は会社法に基づいて会社は誰のものかということを記載していきたいと思います。

 概念上で会社は社会のものであるとか社員のものという考え方もあるかと思いますが、会社法上では基本的には会社というものは株主のものというのが前提となっています。

 ただし実際会社を運営している中では会社は誰のものかということを気にする場面や確認する場面というのはそうそう多くはありません。

 しかし会社がピンチになった時、例えば会社の運営がうまくいかない時とか、当事者間で問題が発生しているような状態のときには会社が誰のものであるかというのが大きな影響を与えることもあります。

 例えば、今まで仲の良いAとBの2人が代表取締役として会社を運営してきた場合で考えてみます。(前提として、他の取締役はおらず、取締役会も設置されていません)
 会社を設立する時に、Aが80%、Bが20%の割合で出資し、その後、その割合に変動が無かったものとします。
今までは2人の立場は社内的には同じでした。ところが意見が対立した場合、どちらが物事を決めていくことができるのでしょうか?

 もちろん、お互いが話し合いをして納得して物事を決めていく事ができればそれに越した事はありません。
社内で賛同者を多く集めたとしても、それが法律的に認められるわけではありません。
よく、「過半数を抑える」という言葉を聞く事があると思いますが、これは人数のことではなく、原則、出資の割合の多寡によって決定されます。
つまり、会社法の中でどちらが権利を持っているか優先権を持っているかと考えると、多く出資した方ということになり、かつ、それが過半数を超えている場合は事実上、その会社の支配権を有していると言えます。

<取締役を追加して自分の味方の取締役を増やしたい!>
 AやBは今後会社を運営していくうえで、仲間が多い方が有利と考え、それぞれ自分の味方になる役員を増やそうと考えました。

 ここで、会社法をみてみると、「役員は、株主総会の決議によって選任する」(会社法329条1項)とあります。

 ここでいう「役員」とは「取締役等」のことです。
つまり、役員を選任するためには株主総会の決議が必要であるということです。

 例え、現在の取締役の意見が強い会社であっても、株主総会以外で役員を選ぶことはできません。AやBが自分の仲間を取締役にしようとしても、株主総会を開催しない以上、勝手に役員にしてしまうということはできません。

 では、株主総会を開催したとしても、自分の思う通りに取締役選任の議案が通るのでしょうか?

 会社法では、「株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行う。」(会社法309条1項)とあります。

 つまり、過半数の株主が出席し、その過半数で決するということになります。
なお、会社の定款の規定により、この要件(定足数)を緩和することもできますが、取締役の選任決議は、定足数について定款の定めをもってしても議決権の3分の1未満に下げることはできません。また、決議要件については定款で過半数を上回る割合を定めることはできますが、下回る割合を定めることはできません。(会社法341条)

ということは、Bについては、そもそも株式の20%しか有しない訳ですから、勝てる見込みはないということになります...。

 今までAと仲良く会社を運営してきたのに、この仕打ちです。Bは納得できないと思いますが、会社法の面から言えばこのような取り扱いになります。
 するとBとしては、議決権の数で負けている訳ですから、Aが取締役を追加するのを、指を咥えて見ていなければならないのでしょうか?
 反対にAとしては、株式の大半を所有しているのですから好き勝手な振る舞いをしてもよいのでしょうか?

<大半の株を所有しているから株主総会を開かなくても良い?>

 会社法では、「株主総会は、会社法に規定する事項や、組織運営管理など株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる」(会社法295条1項)として、株主総会は万能の機関として定められています。
そして、会社法で株主総会決議が必要であると規定しているものについて、会社の定款の記載で他の者(取締役、執行役、取締役会、第三者委員会などの株主総会以外の機関)が決定することができると定めたとしても、その定款の定め自体が無効となります。(会社法295条3項)

 つまり、先に記載した、役員は株主総会の決議によって選任する(会社法329条1項)とあるものを、定款で、代表取締役が選任するとか、指名するとかに変更することはできません。したがって、株主総会を開催して決議することが必須になります。

 実際の会社、特にほぼ個人所有の会社や、親族だけで経営している会社などは「株主総会なんて開催したことが無い!」ということがあるかもしれませんが、法律的には許されていません。ただ、以下のような規定もあります。

「取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。」(会社法319条1項)

 つまり、株主全員が賛同していれば良いということになります。賛同していれば書面を出したり、メールなどで同意の意思表示はしてもらえると思います。
 この場合は、実際に株主総会が開催されたわけではないものの、決議があったものとみなすことになります。株主総会決議の省略と言われるものです。

 これらのことから、株主間で意見が対立していることが明らかな場合などは、同意を得られない訳ですから、この総会決議の省略をすることは事実上できません。
 上記Aとしては、株主総会の決議の省略をできなので、正式な手続で株主総会を開催しなければなりません。

 では、株主総会の開催はどのような手続が必要になるのでしょうか。

Aが株主総会を開催する場合を考えてみます。会社の機関設計の仕方によって内容が変わってきますので、ここでは、いままでの前提通り、取締役会を設置していない会社で、取締役2名(ABともに代表権あり)、株主AB(A80%、B20%)とします。

<株主総会の開催方法>

 まずは、株主総会の招集の決定をします。具体的には開催場所や時間などを決めることになります。(会社法298条1項)

 そして株主総会の開催日より1週間前に、株主総会の招集通知を全株主に発送します。(会社法299条1項)
これは、本件の場合なので、他の条件が該当する場合には、2週間の期間を空けたり、反対にもっと期間を短くすることもできる場合もあります。

 また、全株主の同意があれば、招集通知の省略も可能となることもあります(会社法300条)が、前に記載した株主総会決議の省略とは異なりますので、ご注意ください。

 総会当日の流れは大体下記のとおりです。
受付→議長選任→定足数報告→開会→決議事項説明→質疑応答→採決→閉会

 定款に株主総会においては誰が議長となるのかの規定が記載されているのが通常ですので、その規定に従い議長が議事進行を行います。
そのため、議長には総会の秩序を維持して議事を整理する権限があります。(会社法315条)

 採決の方法は、挙手や拍手でも構いませんが、採決でなければいけないので、議長が勝手に決めてしまうということはもちろんできません。
 ただ、議長が意図的な議事進行をすることも事実上できてしまいますので、誰が議長になるかということは注意しなければなりません。

 例えば、議長が「反対及び棄権の方は挙手をおねがいします」という形でやんわりと反対票が入れにくい雰囲気を作ることもあるからです。

 そして、本件の会社においてはAが80%の議決権を有している訳ですから、Aが出席し、議決権を行使(賛成または反対)することにより議事が決定していくことになります。
ということは、Aとしては、適法に株主総会を開催し、つつがなく総会を執り行えば、自分の思うような決議が出来ることになります。

 しかし、Aとしては、そんなまどろっこしい手続をしなくても、結果が見えている訳なので、こういう手続を省略してしまっても問題ないと考えるかもしれません。
例えば、総会自体を開いたことにして、議事録だけを残しておくということです。

 このようにAが株主総会の手続を省略してしまったり、一部行わなかったりした場合はどうなってしまうのでしょうか?株主総会は無効となってしまうのでしょうか?

(以下 次回に続きます。)
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債務整理の事例 その3 

【債務整理の事例 その2】
by 加藤雄一

 皆様、こんにちは。私は、丸の内アドバイザーズグループの登記関係を担当しております。四谷司法事務所の司法書士加藤雄一と申します。
前回に続いて債務整理の事例 第3回目です。

(事例4)Dさんの場合-全額返済済の過払い請求

 Dさんは、女性で普通に働いていたのですが、近年難病指定の病気にかかってしまいました。しかし、その分、時間はとれるようになったので、ネットでいろいろ調べて自分も過払い請求ができるのではないかということで、一部の取引履歴もご自身で取り寄せしていました。
 どこの司法書士事務所に依頼するかは、ネットでいろいろ見たけれども逆にどうしたらよいかわからなくなってしまい、途方に暮れていたところ、当事務所をご利用いただいたお客様(Dさんの友人)から紹介を受けて、当方に連絡をいただけました。
 実際、当方の事務所からするとDさん宅は電車で1時間半ぐらいですが、私のところでは遠方もご対応しております(過去には鹿児島からもご依頼受けました!)。
 というわけで、Dさんが通院のため、東京まで出てくることがある際に時間を設けてもらい、面談の上、過払い請求の受任をしました。

 Dさんは既に全額を返済済みで、現時点での借入はありませんが、過去のものばかりなので、反対に過払い請求というのがいつまで出来るものか自信がなかったようです。

 ネットなどで調べても、時効は10年ですから大丈夫です!!とありますが、やはり直接専門家の意見を聞かないと心配だったそうです。
 結果、時効になっているところはなく、無事に過払い請求を行い、裁判になったところもありましたが、Dさんに納得していただいて、満足のいく結果となりました。

 ここまで読み進んで、Dさんの話はこれで終了ではないかと皆様お思いになったかもしれませんが、それだけで終わらなかったのです。

 実は、過払い請求をしていく中で、少し不思議なことがありました。
Dさんから聞いていた過払い先(債権者)に、取引履歴を取り寄せるため、問い合わせをすると、「該当なし」ということが2か所ほどありました。

 結婚して旧姓登録のままということもあるので、旧姓で調べてもらってもやはり該当ありません。過去のものなので、Dさんの思い違いや、記憶違いというのもありますので、それはそのまま、Dさんに「該当無かったです」とお伝えしました。
 Dさんからは「そうですか」という反応だったので、こちらとしてはあまり気にしていませんでした。

 そして、Dさんの案件も終盤に入り、ほぼ結果が見えてきたころに、Dさんから連絡があり、「実は、調べてもらって該当ないところは、うちの主人の借入のところなんです。主人のものも手続とっていただけますか?」とのことでした。

 もちろん断る理由はありませんが、本人(ここでは旦那さん)の了解を得ないまま手続を行うわけにはいきませんので、次回面談をさせていただいて内容を説明の上、手続を依頼していただければ対応する旨お伝えし、後日、面談のうえ受任致しました。

 このように、ご依頼のお客様からの紹介割合が多いのが過払い請求の案件の特徴です。(当事務所だけかもしれませんが・・・)
 特に、身内の方からのご紹介は6割ぐらいの割合で発生しています。結局、カードローンなどを利用する状況というのは、各家庭の事情ということもあり、奥様だけ、旦那さまだけ、子供だけ、親だけということはあまり無いようです。

 生活が苦しくてカードローンをしてしまうという場合、奥様やご家族も同じ思いでキャッシングをしまっていたり、家族として乗り切るため、それぞれの名義を利用しているようです。

 そういうことから、過払い案件の場合は特に、ご自身だけでなく、ご家族、ご身内の方たちも一緒に行ってみるのが良いかと思います。
 もちろん、バラバラに手続を依頼して、お任せする司法書士などの仕事の状況を見て判断していただいて構いませんが。

 上記の例をお読み頂き、「なんか、自分と境遇が似ているな」とか「こういう形で相談をしても良いのか」など債務整理や過払い案件についての意識を持っていただけるきっかけになれば良いと思い紹介しました。

 また、最近の業務の中で思うのは、「もっと早くに相談していただければもっと違った結果になったのにな」ということです。
 お客様の資料を見ると、返済を終了したのが、平成12年とかのものがあり、これだと、現在では、最終の返済から10年経過してしまっているので、途中何か事情が無い限りは、時効で消滅してしまっています。
 個人的には平成12年と言えば、ついこの間の様な気がしますが実際は10年以上も経過しているのです。

 特に「若いころは借金も一杯したけど、無事頑張って返済したなぁ」と思われる方は、過払い請求の可能性もありますので、ご相談いただければ幸いです。

 その他、案件でご紹介したパターンではありませんが、父親がサラ金の借金が多かったので、家族みんなで返済したという方も該当することがあります。
「でも父親は数年前に亡くなったよ」
という場合でも、過払い請求ができる可能性があります。過払い請求権を相続することができるからです。
いずれにせよ、まずはご相談いただけると幸いです。

 一般的に司法書士の事務所では、債務整理や過払いの案件については、初回相談無料なところがほとんどだと思いますので、お気軽にお近くの事務所に相談してみてはいかがでしょうか。その中で、当事務所をご用命いただければ嬉しい限りです。

 手前味噌ですが、丸の内アドバイザーズでは私の他、各士業がいますので、債務整理・過払いのお話だけでなく、そこから派生するや税務問題や資産運用、会社を経営している方なら事業承継の問題など、お客様の多くの声を私達にお聞かせいただければ、きっと力になれるものだと思います。
 また、債務整理・過払い請求の案件については、債権者1社に対しての請求額が140万円を越える場合は司法書士が業務として行うことができないものになるため、スムーズに弁護士に引き継げるようにすることも可能です。

※ここに記載してあることは、あくまで私個人の考えに基づくものです。このブログの記事に記載したものが、全案件に適用できるものとは限りません。ご自身での判断材料の一つにしていただくのは構いませんが、実際の案件に適用した際に損害が発生したとしても当方では、責任を負えませんのでご了承ください。
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債務整理の事例 その2 

【債務整理の事例 その2】
by 加藤雄一

 皆様、こんにちは。私は、丸の内アドバイザーズグループの登記関係を担当しております。四谷司法事務所の司法書士加藤雄一と申します。
前回に続いて債務整理の事例です。

(事例2)Bさんの場合-会社経営者の過払い請求

 Bさんは、個人事業からの延長で会社を経営されている方です。会社経営といっても従業員は奥様ぐらいで、自分=会社という経営規模です。もともとBさんは税理士さんからのご紹介でした。会社の資金繰りが厳しい中で、過払い請求というのがあるということを思いついて、アドバイスされたそうです。

 個人で会社を経営している方に多いですが、各種支払の関係や、売上から入金までの時間がかかる場合などに、一時的に代表者が個人的に資金を立て替えるということはよくあります。
かといって、代表者自身にそれだけの資金的余裕がなければ立て替えなどできないので、簡単に数十万円を借り入れできるカードキャッシングなどでまかなう方もいらっしゃいます。
一旦、キャッシングをしてしまえば、返済をしている限りは次回以降は借入枠内であれば自由に借り入れできるので、自分のもう一つの財布のような感覚になるそうです。

 しかし、金利は当時20数パーセントですので、1ヶ月後に全額返済を一括で行うと言っても、そういう金額が積もり積もって結構な額になります。
各債権者から取引履歴を取り寄せ再計算してみると、相当な額が過払いとなっていました。

 そのことをBさんに伝え、過払い請求した場合のデメリットともいえる事項をお伝えしました。
それは、過払い請求をしたカード会社との取引が今後制限されるということです。(キャッシングだけでなく、クレジット機能の分も)

 カード会社によって対応が異なるので、全部が全部というわけではありませんが、Bさん所有のカード会社は、過払い請求を行うとカードの会員資格も喪失するという取り扱いでした。
今回は、もともとBさん自身がクレジット機能やキャッシングについては、会社の事業のこともあり今後も利用したいという意向がありましたので、債権者となるカード会社には、過払い請求を行わないで、まずは取引履歴の取り寄せのみを行っていました。

 計算結果による過払い金額と今後のクレジット、キャッシング予定で判断してもらうことにしたのですが、Bさんからは意外にも、「過払い請求を行わないでこのまま様子見で。」という回答を得ました。
会社の代表者の方の経営判断なので、私は尊重しましたが、非常に苦しい決断のようでした。すでに何社かは返済などが遅れがちになっていたため、新規で他のクレジットカードなどを作ることが難しい状態であったことも社長の判断だったのかもしれません。

 ただ、同じ様な過払い先が数社あったので、1社のみ残して他は、過払い請求をしていくことになりました。それだけでもある程度まとまった額になったのでBさんとしては、満足していただけたのではないかと思います。
会社というものの資金繰りの大変さや、カード会社の冷たい扱いなど、考えさせられる案件でした。

(事例3)Cさんの場合-会社経営者の過払い請求

 前に記載したBさんと似たような部分もありますが、Cさんも会社経営者です。
Cさんの経営する会社は従業員が数名いるのですが、苦しい資金繰りを強いられていたそうです。
取引先は大手なので、売り掛けの回収は確実なのですが、相手が大手なので支払サイトが、請求書送付後6ヶ月後になるそうです。そのため、売り上げはあるのにキャッシュが無いといった状況です。
そこで、給料の支払時期になると、現金に不足が生じることもままあったそうです。そのため、Cさんが個人的に立て替え払いをしたり、カードでキャッシングをして、その資金で支払をするということもありました。
個人的な利用はほとんどなく、毎月給料日前に大きく借りて、翌月までにはすっぱり返済するといった利用方法でした。それが、過去10数年ほど続いている状況です。特に返済の遅れなどもありません。

 これは相当な過払いが期待できるのですが、いただいた資料から、ほとんど期待できないことになりました。最近の過払い請求の現場としてはこういう事態が数多く存在しています。つまり「相手が悪かった」ということになります。

 過払い請求は、相手の懐事情次第で結果が分かれます。相手が既に法的整理に入っていたり、事実上返済能力が無い場合は、権利だけあっても、実現可能性が無いということになります。
これは、立場を置き換えてみればわかると思います。借金の返済が出来なくなった場合は、法的整理(破産など)になってしまえば、基本的には借金は棒引きとなり、大幅な減額をしてもらうことになります。

 残念なことに、Cさんが借入していたのは、そのような状態になってしまった会社でした。私のところに相談に来た際には、既にその会社は会社更生法の適用を申請してしまっているという状況です。
こういう法的整理に入ると、返済率としては、元本の数パーセントになってしまうことがほとんどです。つまり、100万円返せ!と請求できるところ、わずか数万円ということになってしまうのです。
わずか数万円と言ってもゼロでは無いので、手続を採る必要はありますが、専門家に頼むとその費用がかかってしまうので、費用だおれの可能性もあります。

 結局、この会社に対してはCさんご自身に頑張って対応いただき、その他の過払い先は、当方で対応することになりました。2、3年ほど早くご相談いただけたら、違った結果になっていたかもしれないことを思うと、非常に残念です。
Cさんも気落ちしたようですが、気持ちを切り替えて、その他の部分は無事過払い請求により取り戻しましたので、Cさんもご安心されたようでした。

 Cさんからは今でも、お知り合いの方をご紹介いただいているので、結果や私どもの対応に満足していただけたのだなと思い、私達にとっても嬉しい限りです。

(次回に続きます)
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債務整理の事例 その1 

【債務整理の事例 その1】
by 加藤雄一

 皆様、こんにちは。私は、丸の内アドバイザーズグループの登記関係を担当しております。四谷司法事務所の司法書士加藤雄一と申します。

 司法書士と言えば「登記」が代表的な業務になりますが、2003年4月1日施行の改正司法書士法により、所定の研修(特別研修)を修了した司法書士のうち、簡裁訴訟代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した者は、簡易裁判所において一定の訴訟代理行為等を行うことができることとされました。この改正の頃から、司法書士における債務整理、過払い案件というものが表立って登場してきました。

 みなさん、電車の車内吊りや、車内広告で「債務整理」「借金問題」「過払い請求」などの文言を目にすることがあると思います。最近では芸能人をキャラクターに利用した広告もあるようです。
私の事務所では広告等はしていませんが、債務整理等の案件については、ご紹介をいただいたり、HPを見たという方からご連絡をいただいたりして、今までに少なくはない案件数を取り扱いました。

 受託した案件では、お客様に満足いただける結果を出しているものと自負しています。
というのも、お客様からお友達をご紹介いただいたり、ご家族の方をご紹介していただいたりすることが多いのです。過払い請求となる案件では、お客様が予想もしていないような金額が戻ってきたりすることもあります。

 一方、残念ながら、過払いの状態となっているものの、貸金業者自体がお金がなくて、潰れてしまっているということも多くあります。計算上数百万円近く過払い状態だったけれども専門家に相談にするのが遅く、既に先方(貸金業者)が法的整理(民事再生など)となってしまっていて、実際の返金は数パーセントしかなかったということもあります。

 この後は、私の事務所であった案件を、お客様が特定できないようにご紹介していきます。ブログをご覧の皆様のきっかけになり、専門家に相談する一歩となれば幸いです。
(個人が特定できないように内容は多少省略していますことをご了承ください)

(事例1) Aさんの場合(過払い請求と債務整理)

 Aさんはもともと、カードでショッピングをしていたのですが、ある時ふとしたことからカードでキャッシングができることを知り、数回利用しているうちに、金額が膨れ上がり、気づいたら相当な額になっていて、自身の収入の状況を考えるとこのまま返済し続けられるのか心配になり、人づてで私の事務所にお問い合わせを頂きました。

 お会いしてヒアリングをしていると、意外なことがわかってきました。
というのも、確かに自分でキャッシングしていたことはあるのですが、友人からお願いされて、友人の代わりにサラ金のカードを作り、50万円もの借入を行っていたのです。
 友人は最初の数回はAさんに返済をしていたものの、それも数回で支払わなくなってしまいました。そして、その友人は引越しをしてしまったらしく、Aさんがその友人に連絡をしても、もう電話がつながらなくなってしまったのです。
結果、残ってしまったのは、50万円近くのAさん名義の借金ということになったのです。

 その他、キャッシングやショッピングの残債務などで、総額で250万円近く、合計8社ほどあることがわかりました。
現在では、総量規制もあることから、個人でここまで借りることはほぼできませんが、当時はバンバン貸し付けていたという事情もあったようです。

 Aさんに、「友人に請求をして取り返すということもできなくはないのですが、どうしますか?」と聞いたところ、借入したのは自分だし、実際その友人がお金を返してくれるとは思えないので、とりあえず、自分の借金を何とかしたいとのことでした。
 Aさんからは、現時点でわかる債権者の名前とおおよその借入金額を教えてもらいます。また、過去にキャッシングをしたことのある業者の名前を思い出してもらいました。

 そうすると、過去に取引をしたことがあるものの今は返済も終わっていて使用していない業者が3社ほどありました。
ここからは、私の事務所での業務になりますが、早速、各金融業者さんに連絡をして、「受任通知」というものを送ります。
「受任通知」とは、
“このAさんの件は私が代理人になったので、今後の連絡は私宛にください”
“返済はストップするので引き落としなどは止めてください”
“今までの取引内容を確認して、再計算するので、資料をこちらに送ってください”
という内容を相手(債権者)に通知するものです。

 当時(7~8年前)は、まだ債務整理や過払い請求が今ほど盛んではない時代で、こちらから受任通知を送っても、今までの取引内容の明細(取引履歴と言います)が出てくるのに数カ月もかかっていました。

 そして、この取引履歴をもとに私の事務所で、「利息制限法に基づいたひき直し計算」を行います。(この計算について書き出してしまうと、このブログ数回分になってしまいますので、ここでは省略します)

 そうすると、以下のようになりました。
・残債務がある 3社 
・返済中だが過払い状態 5社
・過去に取引があった業者(もちろん過払い状態) 3社

 つまり、最初に話を聞いていた8社のうち5社が過払いという状態です。
過払い状態とは、利息制限法に基づいて再計算をした結果、支払う必要もなかったのに支払い過ぎていた状態→「過払い」という状態のことです。この場合、払い過ぎている訳ですから、その相手に「払い過ぎたものを返せ」と請求することが出来るのです。これを「過払い請求」と言います。
過払い状態が8社あるわけですから、Aさんはそこからお金を返してもらって、そのお金で、債務が残っている先を返済すれば良いことになります。

 しかし、問題が2点ありました。1つは、例の友人のための借入です。
これは、直近での借入だったため、ほとんど元金が残っていて、40数万円を返済しないといけない状態です。
もう1つはショッピングの支払い債務と、過払いで戻ってくる額とを相殺すると、少ししか戻ってこない先があったことです。
結局、130万ぐらいの残債務と、80万ぐらいの過払いとなりました。

 直近のサラ金の名義貸しのようなものが無ければ、実質借金がチャラになっていたはずです。これが悔やまれるところですが、まぁ、もともと250万円の債務が、実質50万円に圧縮できたので(当方の報酬等があるので実際はもう少し負担はありますが)良い結果だと思います。

 Aさんに報告し、残り50万円分を今後どのように返済するか、Aさんとの面談をしました。
すると、Aさんから驚きの報告がありました。

「じつは、離婚することになって、今後はしばらく収入がありません」

 もともとAさんは専業主婦で、家計のやり繰りの中から返済をなんとかしていたそうですが、離婚してしまっては、働かない限り返済原資がありません。親からの援助も期待できないようです。
一旦、持ち帰って事務所で検討することになりました。

 全体の借金からすれば、だいぶん減ったことにはなりますが、今後分割して返済をしていくにも当面生活費の支払で精一杯で、たとえ数千円としても返済の余力は無いと思われます。

結果、今回採用したのは、過払いで戻ってくる80万円を利用する方法です。

 残債務は130万円ありますので、これを過払いで戻ってくる80万円で一括で返済してしまっては、50万円の返済のための資金が無くなってしまいます。
戻ってくる80万円も内訳としては、すぐにでも戻ってくる20万円と、じっくり裁判をして戻ってきそうな60万円という内容なので、そのうちのすぐ戻ってくる20万円を利用することにしました。

 残債務のある各債権者に連絡をして、長期分割弁済を依頼するのです。債権者によっては条件まちまちなので、受けてくれるところと、強硬なところがありますが、当時は長期分割弁済を了承していただけるところが多かったです。
そのため、各社ひと月の支払額を数千円にとどめることにして、毎月の支払総額を15,000円程度にしてもらうことを目標としました。返済期間は約5年です。
そうすれば、20万円あれば1年ちょっとは、時間が稼げます。

また、じっくり戻ってくる60万円が実際に戻ってきたら3年は時間が稼げることになります。その間に、Aさんには仕事を始めてもらい、払える範囲内で、毎月2万円を目標に、支払い計画をたてる方法です。

 このAさんの返済金と、過払いで戻ってきたお金は、当事務所で管理します。状況を確認しながらAさんの代わりに債権者への支払いをしていくのです。

 再度Aさんに説明し、この方式を理解してもらい、実行に移しました。
債権者からは若干の抵抗がありましたが、状況を説明し、協力していただけました。(最近では強硬な債権者が増え、長期分割弁済が難しいかもしれませんが、話し合いによっては、一つの有効な手段だと考えています)

 それから数年経ちましたが、Aさんから、途中当方への入金が滞って事務所内のプール金が残り数百円になってしまったり、Aさんが東日本大震災に被災され、しばらく連絡がとれなくなったり、大変な状況が続きました。

 しかし、先日ようやく、各債権者への支払が終了しました。現在は私の報酬部分を分割で支払っていただいている状態です。これももう少しで終了予定です。無事終了が見えてくると感慨深いものがあります。
片手では数えきれない年数の出来事をまとめているので、かなり省略はしていますが、ご紹介させていただきました。

(次回に続きます)
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