FC2ブログ

士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

03«1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»05

出社しなくなった従業員の取り扱い 

【出社しなくなった従業員の取り扱い】
by 中野泰

こんにちは。中野人事法務事務所の中野です。
早速、本題。

 従業員がある日突然出社しなくなり、行方が分からなくなりました。
この場合、会社としてどのような対応が考えられるでしょうか。

1 退職扱い
就業規則の退職事由に、「行方不明となり、その期間が〇日を経過したとき」等と記載されている場合、その期間を超えれば当然に退職となります。

この場合は、本人の退職の意思表示も、会社からの通知も必要ありません。
後にご紹介する解雇の場合よりも手続きが簡単で、おススメです。

 なお、「〇日」が短すぎるとトラブルの元になりかねません。具体的に「〇日以上とすること」等の通達はありませんが、厚生労働省監修の書籍による事例ですと、「2ヶ月」という例が表示されています。
 また、懲戒解雇となる無断欠勤日数の基準を14日とする通達もありますし(後述)、解雇予告をする場合は「30日前」という基準もあります。

 これらを参考にしていただき、妥当な日数を設定ください。

2 懲戒解雇扱い
 懲戒解雇の事由に「無届欠勤が〇日以上に及んだとき」等と記載されている場合、この要件を満たす期間、行方不明であれば、懲戒解雇の要件を満たすことになります。

 従業員の責に基づく解雇の場合は、解雇の予告をしなくても構いません。
また、日数の設定については次の通達が参考になります。

----------------------------------------------------------
原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合は
労働者の責に帰すべき事由となる。
(昭和23年11月11日基発第1637号、 昭和31年3月1日基発第111号)
----------------------------------------------------------

 出勤督促をしようと思ってもできない行方不明の場合は、2週間以上無断欠勤しているというだけで十分かと存じます。

 なお、この場合は、労働基準監督署長から解雇予告手当の除外認定を受けることで、解雇予告手当の支払いをしなくて済むようになります。

 なお、面倒なのはここからです。

 解雇をする場合、解雇の意思表示が本人に届かないと、解雇の効力が生じません。
そこで、公示送達(民法第97条、民事訴訟法第110~113条)という手段を用います。

 公示送達は、従業員の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てをし、裁判所の掲示場に掲示することによって行います。
掲示場に掲示を始めた日から2週間経過すると、公示送達の効力が発生し、従業員に解雇の意思表示が届いたとみなします。

 公示送達、面倒ですよね?
となると、退職という形を取れるよう、就業規則を見直しておく方がよいかと存じます。
労務 /  Trackback -- /  Comment --

△page top

就業規則がないと解雇はできないか? 

【就業規則がないと解雇はできないか?】
by 中野泰
 
 社会保険労務士(中野人事法務事務所)の中野泰です。

 先日、就業規則の作成義務や届け出義務がある会社であるにもかかわらず、就業規則の作成や届け出を行っていない会社で、従業員を解雇する事件が起きました。

 従業員は「就業規則がそもそもないのに、何を根拠に解雇するのか? 解雇なんてできるはずがない!」と主張しています。

就業規則がない会社は従業員を解雇することはできないのでしょうか?

 結論から申し上げますと、解雇することは可能です。

 もちろん、就業規則の作成・届け出義務を怠っているという、労働基準法違反の問題はありますし、解雇権の濫用ですとか、解雇に当たり正当な理由があるか等のハードルを越える必要はあります。

 ただ、そうは言っても、雇用契約の性質上、会社は本来的に従業員を解雇する権限を持っています。

 上記で述べた、解雇権の濫用や、解雇に当たり正当な理由があるか等というのは、会社が本来持っている解雇権の行使の仕方の問題であり、解雇権そのものが失われるということではありません。

 裁判で争われた事例においても、就業規則の作成や届け出義務に違反していたからといって、それを理由に、当然にその従業員を解雇できなくなるいわれはないと裁判官も判示しています。
(秀栄社事件:昭和46年11月1日、東京地裁判決)

 なお、解雇権の行使の仕方という点については、労働契約法第16条で次のような制限がかけられています。

『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。』

 何をもって「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」かは、最終的には裁判で争うことになりますが、いずれにしても、トラブルに発展すると、会社にとっても、そしておそらくはご本人にとっても、とんでもない重荷を背負うことになります。

 さらに、整理解雇ともなると、整理解雇の4要件(4要素ともいう)と言って、さらに高いハードルが待ち構えています。

 そこで、実務の上では極力解雇という選択肢を選ぶ前に「退職勧奨→本人受諾」という流れを作るよう、お客様にご提案をすることが多いです。

労務 /  Trackback -- /  Comment --

△page top

65歳までの再雇用制度、規制強化の方向へ 

【65歳までの再雇用制度、規制強化の方向へ】
by 中野泰

年金の支給開始年齢を68歳~70歳程度に引き上げる話は
少なくとも来年の通常国会に法案提出はなくなりましたが、
雇用の方はしっかり規制強化の動きが出てきました。

厚生労働省は、65歳までは希望者全員が再雇用される方向で検討を始めました。
現在は、労使間で再雇用される人について客観的な基準を作成し、
その基準に合致している人を再雇用するという方式で再雇用制度を設けている会社が大半です。

おそらく現在設けられている基準の例としては、次のようなイメージではないでしょうか。

・心身ともに健康であり、通常レベルの業務に耐えられること
・過去○年以内に減給以上の懲戒処分を受けたことがないこと
・過去○年の勤務評価が○以上であること

こうした基準が撤廃されるということは、
不健康な人であっても、定年直前に懲戒処分となった人も、
勤務評価が低い人であっても、本人が希望すれば再雇用するということになります。


今回の規制強化を従業員の視点から見てみましょう。

ちょっと前までの人は60歳の定年を迎えてからは、働かずに年金暮らしとなりました。

今は、年金の支給開始年齢が上がっている最中で、
60歳から年金暮らしで悠々自適、というわけにもいかなくなりつつあります。

最終的には、64歳までは1円も年金がもらえなくなる時代がすぐそこに来ています。
(対象となる男性:昭和36年4月2日以降生まれ)
(対象となる女性:昭和41年4月2日以降生まれ)

60歳から隠居の身、ということはしづらくなりましたが、
『それならあと5年働いて、年金がもらえなくなった期間の生活費を稼ごう』
という意識の方が多いかと存じます。

年金の支給が遅れる代わりに、働ける環境を作るので、
自分の力であと5年稼いでください、という政府からのメッセージを受け止めるということです。

次に、経営側の視点で見てみましょう。

率直に言えば、年金の支給年齢を上げることを決めたのは政府ですが、
60~64歳の間の収入を保証するために、
なぜ企業につけを回すんですか?という気持ちの方が多いのではないでしょうか。

定年退職というのは、ある意味円満退職に向けた一つの仕掛けです。
職場で働くには厳しいレベルの不健康な人、
パフォーマンスが出ておらず、解雇したいくらいの方、
過去に懲戒処分を受けるような、会社にとってはいてほしくない方。

こうした方々について、本当に解雇するのは波風が立ちますが、
「定年退職」であれば、それを理由に双方ともに納得できるわけです。

法改正がなされれば、こうした人もあと5年雇用し続けなければならなくなります。

また、60歳定年であれば、欠員補充として若い人を雇用するところ、
欠員が生じなくなるため、若年者の雇用も滞りがちになります。

その一方で、民間企業は利益を追求する団体ではありますが、
社会の公器としての側面も持っています。
この規制強化はよく言えば、社会の公器としての役割を
より一層荷いなさいというメッセージである、という捉え方もできます。

これは経営者としては厳しい時代に突入ですね。
相当な意識改革と、今回の規制強化をバネにした生産性の向上が求められます。
来年の通常国会での法案が通れば、早ければ2013年からの施行となります。
来年も雇用関係・社会保障関係の法改正に目が離せない一年となりそうです。

労務 /  Trackback -- /  Comment --

△page top