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士業(サムライ)日記  専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ

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税務調査にて-重加算税の内規? 

【税務調査にて-重加算税の内規?】
by 岩松琢也

 丸の内アドバイザーズの岩松です。

 先日関与先に税務調査がありまして、残念ながらいくつか指摘を受けて先日修正申告書を提出いたしました。
修正した事項については、関与先の社長様も私もいずれも納得していたのですが、調査の過程においては、修正に応じなかった指摘事項もありました。

 それは、金額的には30万円くらいの支出額でしたので、あまり大きなものではなかったのですが、調査官さんは、これは悪質なので重加算税に該当する、とかなりのお怒りでした。
 ご存知の方も多いと思いますが、重加算税の対象になるのは”仮装・隠蔽”している事実があった場合に課せられるもので、加算金額も大きくなりますが、悪いことと承知でやってしかもそれをわからないように偽装したと認定されるわけですから、税務の履歴として信用に傷がついて、徴収される金額の大小とは別にかなり重たいペナルティとなってしまいます。

 当該指摘事項については、私の見方としては、会社の処理に軽微なミスはあるものの、支出の内容について会社の経費であることには疑問はなく、ましてや仮装や隠蔽は全くしておりませんでしたので、たとえば従業員への現物給与であるとして源泉税が課される、といったくらいの指摘であればともかく、会社の経費として否認される内容とは思えませんでしたし、まして重加算税の対象になるとは考えられませんでした。

 その旨を調査官に申し上げたのですが、税務署内部での取り扱いがあって、こういうことは間違いなく重加算税の対象になるとおっしゃって聞き入れてもらえません。私は、「仮装・隠蔽」はしていないのに、何故重加算税の対象になるのかと尋ねたのですが、それについては論理的な説明はなく、議論は平行線をたどりました。

 調査官は、上記の重加算も含めて修正申告をして欲しいと言って帰ったのですが、その後で社長に意見を聞くと、社長もミスは認めるけれども重加算には納得できないという意見です。ただ、調査官が言っていた「税務署内部での取り扱い」というのは気になりましたので、うちの顧問になってもらっている国税OBの先生に意見を聞いてみたところ、「岩松さん、そんな内規があるなんて聞いたことないよ」という返事です。社長とも相談した結果、内容としても納得できないので、受け入れないことにしました。

 重加算以外の納得できる指摘事項について修正申告書の原稿を作成し、それを調査官に送ってその旨を伝えたところ、「それでは署内で一度検討するけれども、更正を決定するのでしばらくお待ち下さい」ということでした。更正というのは、会社が自主的に修正して申告するのではなく、税務署側が職権で修正する手続きを言います。

 通常、更正を行うのには、税務署内部で審査があると聞いておりましたので、今回の内容であれば審査は通らないだろうとは思っていたものの、連絡を待つ間はさすがに多少不安も感じておりました。
ですので、一週間ほどたったところで連絡があり、「今回は厳重注意にとどめ更正は行いません」という回答を聞いたときには正直なところほっといたしました。

 そこで改めて疑問に思うのは、それじゃあ、あのとき言っていた「税務署内部での取り扱い」というのはなんなんだ?ということです。時々、税務署の職員の方で、「キソクでそうなっています」的な話し方をする人がいるのですが、私は大事な事項については、根拠条文等の確認をするようにしています。一口にキソクと言っても、税法や法令、通達、税務訴訟の判例、内部的な取り扱いなどいろいろです。税には本来租税法律主義といって、法律の根拠がなければ税金を課されたり徴収されることはゆるされないという原則があります。税法はまさに国民の代表である国会議員によって国会で決議された法律ですから、当然内容はオープンで、国民は全てこれに従わなければ行けません。それに対して、税務の世界での通達はというと、これはあくまで国税局長が税務上の諸々の論点について取り扱いを指示した内部向けの文書ですので、法律ではありません。しかし、税務の現場では税務署の職員はこれに従って判断、処分を行いますし、内容も公開されておりますから、われわれ税理士も実務に当たっては常にこれを確認して判断することになります。

 それに対して、外部に知らされていない税務署内部の取り扱いということになると、もともと公開されていない情報ですから、納税者も税理士もあらかじめそれに従うことはできません。そもそも法律ではないわけですから、本来強制力も持たないはずです。税務調査で、調査官に「内部の取り扱いでそうなっているから」と言われたのは以前にもあるのですが、まだまだそういうケースは少なくないようです。

 実は、今回の調査では、修正には至らないものの調査官の心証を害するようなことはいくつか発見されておりました。ご依頼を頂いて最初の年度だったこともあり、うちの目が十分に行き届かなかったという面もあるのですが、今後早急に改善していかなければいけないと社長にも申し上げました。実のところ、今回の重加算の指摘は、そのような調査官の心証が根底にあってのことなのかもしれません。

 もちろん、そうであってもやはり最終的に修正や更正の手続きを行うに当たっては、主観的、恣意的な判断ではなく、法律に基づいて行われるのでなくてはなりませんが、関与先のみなさまには、素行が悪くて税務署の心証を害すると、そういうこともあり得るのだということを認識して頂いて、日常の業務に当たって頂きたいと改めてお願いを申し上げます。
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消費税の税率アップの実感 

【消費税税率アップの実感】
by 岩松琢也

 丸の内アドバイザーズの岩松です。

 消費税の税率が今年の4月から8%に上がりましたが、先月(平成26年11月)に消費税の申告・納税を行った9月決算の会社は、事業年度のうち後半の半分の期間が消費税8%の期間となりました。
 消費者の立場としては、税率が上がった4月から8%の消費税を負担して支払っておりますが、事業者については、経費などの支払いについて消費税を負担する一方で、売上の方についてもアップした税率で消費税を預かりますので、基本的には決算で申告・納税するまでの期間は消費税についての収支はプラスになります(もちろんきちんと転嫁ができていたらの話しですが)。

 当然、決算で申告・納税をすれば、原則として預かった消費税から支払った消費税分を差し引いた金額相当分が納税されて、事業者としての消費税の収支はニュートラルになる訳ですが、実際には受け取った消費税の預り分は資金繰りに回ったりして、中小企業などで、実際の納税の時に資金が足らなくなることもあり、消費税は今まででも法人税などに比べて滞納が生じる割合が多くなっておりました。

 今回の消費税の税率アップについて、会社側の状況を見ていて資金面で感じていたのですが、4月以降しばらくの間は、消費税の預り分が多くなる一方で、決算をむかえて申告・納税するまではタイムラグがありますので、一瞬資金繰りとしてはプラスの効果が生まれておりました。しかし、当然ながら決算を迎えて納税するときにはその分の支出が生じるのですけれども、今度は税率がアップしている分納税額も増えますので、一転して負担感が重たくなる、という心理的効果が生じます。

 そして、納税する際には、従来5%分の消費税を納税していたのが8%に上がっておりますので、同額の取引規模であれば5から8へと1.6倍に納税額が増える計算になります。決算期が4月、5月と進むに従って税率が8%に上がってから後の期間が長くなってきて、今度の9月決算11月申告では事業年度の半分が8%になってからの期間となったのですが、当然とはいいながらも消費税の納税額は前年度の金額と単純比較してかなりの増加となっており、わかっていたこととはいいながら、どの会社でも「こんなに払うことになるんですね」と改めて実感していらっしゃいました。

 以上のように、企業側の消費税アップの実感としては、納税の際の資金的な負担感がこれからより顕著に感じられるようになり、来年の3月決算(5月申告・納税)でそれが一巡するということになります。

 私個人としては、消費税の増税については財政赤字の問題もあってやむを得ないと考えておりますが、急激に進む円高とそれによるコスト高、人件費の増加などで中小企業が苦境に陥っている状況を考えると、消費税をさらに10%に上げるのを延期するのは適切な判断だろうと思います。
 おそらくこれから消費税の滞納も増えるのではないかと懸念しておりますが、より一層の成長戦略、景気刺激策の施策が必要だと思われます。
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役員退職金についてのご相談 

【役員退職金についてのご相談】
by 岩松琢也

 新年、あけましておめでとうございます。 
丸の内アドバイザーズの岩松です。本年もよろしくお願い申し上げます。

 昨年頂いたご相談の中で特に多いテーマの一つに「役員退職金」に関する問題が挙げられます。ご存じのとおり、退職金は所得税の計算上、通常の給与所得など他の所得と比べて有利な取り扱いとなっており、事業承継や相続対策、M&A、生命保険と組み合わせた節税などで、役員退職金は非常に多く利用されております。
 しかし、退職金の制度を悪用して、度の過ぎた節税が行われる恐れもありますし、特に同族会社で社長に支払われる役員退職金は、実質的に社長が自分で決められますから、税務調査等において役員退職金は代表的な重点項目となっています。
 役員退職金は、支払う会社においては「損金」となるので法人税が減少する一方で、受け取る個人の方は、所得税の計算が優遇されておりますので、メリットが非常に大きいのですが、逆にこれが否認されますと、「役員退職金(損金となります)」が「役員賞与(損金となりません)」となってしまい、法人税の追加納税が発生するのに加えて、さらに「退職所得」が「給与所得」となるために、個人の所得税や住民税も追加納税となります。たいていそういう場合は、支給金額も大きいですから、それぞれの加算金なども含めると深刻なダメージを被ってしまいます。

 役員退職金が否認される理由としては、以下の二つが代表的です。
A.実質的に退職していると認められないのに退職金を支給している。
B.退職金が多すぎる。


 Aのケースは、本来会社を退職することによって退職金が払われるべきところ、退職したはずの経営者が引き続き会社の経営に関与しているなど、退職の実態が伴わないために、支払われた退職金が、退職金ではなく賞与や臨時給与等として扱われてしまう、というケースです。
 たとえば会社の事業承継において、子供に後継者がいない経営者は、従業員や第三者に会社を売って、買い手から対価として株式の譲渡代金と役員退職金を受け取るということが多くあります。このとき、買い手からは、急に売り手の経営者がいなくなってしまうとあとが心配なので、譲渡後もしばらく会社に残ってもらいたいと希望します。このような場合、最初に退職金を受け取っておいて、その後も経営に関与していると、上記のような退職の実態が伴っているのかという問題が生じます。
 また、儲かっている会社などで、節税対策として生命保険に加入して保険料を支払っておいて(損金の分だけ会社の利益が減って法人税が少なくなります)、将来保険金を受け取るときには同時に役員退職金を支払う(保険の益金と退職金の損金をぶつけて相殺する)ことによって、税金を抑えつつ創業者利潤を得るという方策がよく見受けられます。たいていは、保険が満期になる時期に引退できるよう後継者を育成するなどの計画が伴うのですが、思うように計画が進まず、まだ引退できる状態でないのに保険が満期となってしまったり、中には計画自体がたてられていないなど、行き当たりばったりのケースもまま見受けられます。ただ保険金を受け取れば、まとまった金額の利益が計上されて法人税がかかりますので、できる限り退職の形を整えて退職金を受け取ってしまうという人もありますが、かなりのリスクが伴います。

 次にBのケースですが、役員退職金は比較的低い税負担で創業者利潤を得る貴重な機会ですし、社長であれば、ある程度自分の考えで金額を決めることができますので、金額は上ぶれしがちです。また、すでに述べたような、M&Aがらみであったり、生命保険とセットであったりすると、そちらの方の都合が支給額に大きく影響を及ぼします。しかし、税務ではやはり退職金の支給額には一定の目安があり、過大な退職金と認められれば過大な部分については否認を受けてしまいます。

 上記のいずれについても、一応形式的な目安や条件がないわけではありませんが、最終的には実態に即した判断となり、ある程度主観的な部分もございます。安全策で手堅く対処すればほとんど税務的なリスクは生じませんが、大きな金額になる事が多いので、ついついぎりぎりを狙って一線を越えてしまうということになるのだろうと思います。
大丈夫かな?というのを通り越して、無茶なレベルになってしまっていることもある反面、逆に手堅すぎてもったいないなと思われるケースも意外に少なくありません。

 相談を受けていて非常に残念なのは、ほとんどが事後的な相談で、タイミング的にすでに対応策が限られてしまうようなケースばかりだということです。たとえば、「もう保険金を受け取っていて、決算月も過ぎており、今月中に申告しなければいけないのだけれども、決算作業に入ったら顧問の会計事務所から指摘を受けてびっくりして困っている」とか、「税務調査で指摘を受けて、追徴税額を聞いて腰が抜けた」といったようなお話しですが、こういうような状況ですと、残念ながらもうほとんどお手上げというしかありません。月並みと思われるかもしれませんが、役員退職金は経済環境も含めた会社と経営者の総合的な状況と、ある程度長期的な経緯を勘案して計画的に実行するものであって、そうでなければ強敵相手にノーガードでラッキーパンチを狙うような無謀な行為となってしまいます。
 あらかじめ会計事務所などに相談をしていればそんなことにはならないだろうと思うのですけれども、そのような関係になっていないということは私が思っているよりも多いようです。

 相談相手がいなくて、将来の引退のことや、長期的な経営計画のこと、あるいは決算対策など、あまり専門家に相談せずに決めているという話しを聞くと、我々専門家のサイドにも対応を考える必要があるのだろうと思います。微力ではありますが、相談相手として頼りにしていただける存在になって、事後的にではなく、常日頃大事なご相談に与りたいという思いを新たにしております。

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相続税がゼロでも申告が必要な人 

【相続税がゼロでも申告が必要な人】
by 岩松琢也

 公認会計士・税理士の岩松琢也です。

 税制改正で相続税の課税が強化されることに伴い、うちは相続税がかかるのだろうか?といったご心配をされる方が増えているようです。特に、相続税の基礎控除額が減少することによって(現状5000万円+法定相続人数×1000万円→改正後3000万円+法定相続人数×600万円)、これまで相続税を納めなくて済んでいたのが、納税しなくてはならなくなるというケースは、相当増えると見込まれています。
 
 統計上、現状年間約120万人くらいの方が亡くなるのに対して、相続税の申告が必要な人は4%くらいといわれておりますが、上記の改正でこの割合は6%あまりに増加すると見込まれています。これを亡くなった人の人数に直すと、2~3万人くらいは、申告する人の件数は増えると考えられます。

 ところで、相続税は、申告しなくてもいいケース(納税額が発生しないケース)と、申告・納税が必要なケースの他に、「申告すれば納税しなくても済むが、申告しないと税額が発生してしまうケース」があるのはごぞんじでしょうか?

 相続税は、亡くなった人の遺産に対して課税される税金ですが、上記の基礎控除額よりも遺産が少ない場合は税額はゼロになりますので、申告をする必要はありません。逆に、税額の発生する人は、相続の発生(被相続人の死去)を知ってから10ヶ月以内に申告・納税を行わなければ行けないことになっています。それでは、申告すれば納税しなくてもいいが、申告しないと納税が必要になるとはどういうことかといいますと、相続税では、上記の基礎控除の他に、「配偶者控除」や「小規模宅地の課税の特例」など、申告期限内に遺産分割を確定して申告書を提出することを条件として認められる控除がありますので、これらを使うことにより納税額をゼロにすることができるという人は、申告書を提出する必要がある、ということです。

 配偶者控除と、小規模宅地の課税の特例というのは、前者は亡くなった人の配偶者が相続する財産についての特例で、後者はいろいろ複雑なのですが、たとえば亡くなった人の住んでいた家に、子供などの相続人が住み続ける場合などについての特例ですので、両方とも現実の相続でも適用されることの極めて多い特例です。

 最近ご依頼のあったケースですが、都内にマイホームをお持ちでローンはすでになく、子供さん二人が相続人というケースがありました。同居していたご長男家族がそのお家に住み続けることになっていたので、小規模宅地の課税の特例を使って申告を行い、納税額はゼロになりました。
 課税財産の内容は、大まかにいうと、現預金および証券等の金融資産が約4000万円に、マイホームの評価額が約5000万円(底地の面積は40坪ほど)と合計9000万円です。相続人が子供二人なので、基礎控除だけだと2000万円が課税財産(9000万円-5000万円-2人×1000万円)になりますが、小規模宅地の課税の特例を使った結果、マイホームの評価額が5000万円から1000万円に減少することになり、その結果、金融資産との合計額が5000万円と基礎控除を下回ることになって税金が発生しなくなったということです。

 ここで、税制改正にからんで注意が必要なのは、上の例では基礎控除は7000万円ありましたが、税制改正後は4200万円になってしまいますので、上記の方でも税制改正後であれば税額が発生した、ということです。
 そして、4200万円を超えると税額が発生する、ということは、金融資産が1000万円あまりあって、マイホームの評価額が3000万円あれば基礎控除とほぼ同じ金額になりますので、ローンがなければ申告が必要かを判断する必要があります。つまり、都内で持ち家があってローンがなければ、そのほとんどの人は申告を検討する必要がありそうだ、ともいえます。もちろん、そうした場合でも、上記の事例のような小規模宅地の課税の特例を使えば、多くの人は税額がゼロになったり、かなり税負担が軽減されるはずですが、たとえ税額がゼロになるのだとしても、申告をしないと特例が適用されないことは肝に銘じる必要があります。

 最後にもう一つご注意頂きたいのは、上記の特例の条件として、申告期限内に申告書を提出することに加えて、申告期限内に遺産分割が確定していることも必要だということです。これは、相続争いが起きて遺産分割が確定しないと特例も使えなくなってしまうということを意味します。相続争いが起きると、申告、納税にも不利が出かねませんので、争いが起きないよう、事前の準備も必要です。


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税務調査は断れるか? 

【税務調査は断れるか?】
by 岩松琢也

 新年おめでとうございます。丸の内アドバイザーズの岩松です。本年もよろしくお願いいたします。

 昨年末の選挙で、政権が民主党から自民党に変わり、年が改まると共に毎日のように税制改正の記事が新聞を賑わせております。例年は年末くらいに税制改正大綱が公表されるのですが、今回は年末に政権与党が変わったこともあって、2月から3月くらいにずれ込みそうだといわれております。

 昨年の税制改正で決まった事項の中に、税務調査手続に関する項目があり、今年の1月1日以降に開始する税務調査から適用されることになります。例えば、税務調査を行うに当っては、調査に先立って原則として事前通知を行うことが法律上明確化されました。これまでも税務調査の際にはたいてい事前の通知は行われていたのですが、それが法律により明確になったということです。

 税務調査の連絡は、申告書に税理士の押印があれば通常まず税理士に連絡が入ります。税務調査を受けて嬉しい人はいないだろうと思いますが、税務調査を断る方法はあるのでしょうか?残念ながら税務調査を断ることはできません。調査官には国税通則法という法律において「質問検査権」が認められており、この質問検査権を妨げる行為については罰則が設けられているからです。

 ただし、急に税務調査の通知があっても、調査官の希望する日時に応じられないことはままあります。重要な予定が入っていたりして応じられない場合は、日程を調整してもらうことは可能です。たいていは社長の都合と税理士の都合を調整して調査実施日を決めることになります。調査官にも都合がありますので、何ヶ月も先に延してもらうことは難しいと思いますが、数週間程度ずらしてもらうことはよくあります。ただし、社長についていえば、必ずしも調査の間ずっと張り付いていなければならないわけではありません。だいたい半日程度は会社の概況などを説明する時間を取ってもらう必要はありますが、あとは税理士に応対を任せることは可能です。むしろ税務調査に不慣れな社長が応対するよりも、税理士に任せた方が安心な面もありますので、どちらかといえば、社長は半日程度の時間をとれればいいので、税理士の時間を取りやすい方を優先して日程を調整するのがいいように思います。

 上記のように、原則として税務調査は事前に通知することが明文化されたのですが、しかし、予告無しの調査が全く行われなくなるわけではありません。調査対象の申告内容や過去の調査結果、事業内容の特性や税務当局のつかんでいる情報などにより、適正な調査の遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合は事前の通知無く調査を行うことができるということについても、同様に国税通則法で明文化されております。例えば、飲食業などの現金商売の会社などは、事前通知なしに調査が行われることが多いといわれております。

 それでは、もし不意に税務調査が入った場合はどのように応対すればいいのでしょうか?前述のように、調査そのものを断ることはできません。しかし、だからといって予告のない調査に対して、無条件にそのまま受け入れなくてはならないわけでもありません。強制捜査である査察の場合は別ですが(税務調査官の行う税務調査と、査察官の行う強制捜査である査察は別物です)、都合が悪ければその旨を説明して別の日に調査をしてもらうよう頼むことは可能です(調査官も簡単には認めてくれませんけれども)。例えば、顧問税理士に連絡するので、と言って待ってもらい、税理士と連絡を取った上で、税理士から調査官に日程の調整を交渉してもらう、といった対応が考えられます。

 以上は税務調査の事前通知に対する対応ですが、これとは別に「書面添付」という制度があります。これは、所定の事項について、税理士がどのように計算等を行って申告書を作成したかなどを記載した書面を申告書に添付するというもので、この書面添付が行われている場合は、原則として税務調査を行うに当っては、事前にまずその税理士に対して、その書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければいけない、という制度です。つまり、書面添付が行われている場合には、税務調査を行う前に、まず税理士が調査官に対して説明等を行うことになり、それで調査事項が明らかにならない場合にのみ、税務調査が行われるということになります。従いまして、書面添付が行われている場合には、予告なく調査が行われたり、会社に調査官がやってきて調査が行われる恐れが少なくなります。これも、もちろん例外はあるのですが、やはり調査が入れば大なり小なり税額が発生する可能性は高いですし、心理的な負担もありますので、ご一考の価値はあると思います。
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